相容れぬ二人

「だから、お前は……ああもう埒が明かない!」
 巽は頭を抱えた。その原因はこの男。
「僕は僕がそうするべきだと思ったことをしているだけだ」
「その思考の結果があれなのか、まったくわからん。実力以上のことをしてもただ損害が増えるだけだとなぜわからないんだ」
「それは結果論だろ。じゃあ巽は目の前に助けを求める人がいた時それを見捨てられるのか!」
「俺の力で助けられないなら無駄な希望は抱かせない方が相手のためだ! だいたい俺はお前と違って自分一人でできないことは他人に預ける!」
 ああ言えばこう言う、というやつかと空閑は二人を眺めていた。一見似たもの同士の巽と三雲はどうやら根本的に相容れないところがあるらしい。
 空閑の分析では、三雲は目の前のことを重視し、巽は未来や結果を重視している。三雲は目の前の課題をこなすためならその場しのぎのことを柔軟にやってのけるが、それが後々仇となることもある。巽はその逆で、未来を重視するから結果的に失敗はしないがそのために目の前の少数を切り捨てる非情さを持ち合わせていた。空閑の思考はどちらかと言えば巽に似ている。しかしもちろん、三雲が間違いだとも言えない。空閑や巽の非情さは、時に他人を傷つけるからだ。それは完全な正義だとは言い難い。それを巽も理解していた。三雲は、空閑にもいまいち計り知れない。
「はあ……まあいい。俺はお前のその思考も言動も理解できないしするつもりもないが、俺の正義や思考を押し付けるつもりもない。この話はやめにしよう」
 そう言って巽は空閑の方へ向いた。
「悪いな、空閑。見苦しいところを見せた」
「いやいや、別にいーよ。見ててなんか面白いし」
「だが友人同士が争うのは気分がよくないだろ。次から気をつける」
 じゃあな、と巽は去っていった。三雲が隣で首をひねっているのを、空閑は少し笑いながら見ていた。


[ Top / Main ]