「レイガストにスラスター。弧月に旋空。アステロイドとメテオラ、ハウンド。あとスコーピオンで8チップ」
そう答えると三輪にスパァンと頭をはたかれた。
曰く「攻撃特化すぎる」と。
入隊してから少しして、三輪にトリガーのチップをどう設定したか尋ねられ、正直に答えた。のだが、どうやらお気に召さなかったらしい。
「なんでシールドを入れないんだ」
「なんでって……」
お前、戦国時代にシールドとかねぇから!!……というのは冗談で。
前世のときの私の戦闘スタイルは、身の丈ほどもある大剣を担いで叫び声を上げながら敵軍に突っ込むという感じだった。一番槍、一番首を我先にと、左近と競い合ったものである。
防御を捨て、攻撃のみに専念する。師事を受けたことは残念ながら結局一度としてなかったのだが、黒田や刑部さんなどといった知る人曰く私の戦い方は「鬼島津のそれに近い」らしい。
それもあってメインの武器は比較的大型なレイガストにした。開発部の人に言わせると、レイガストを剣として使う人は滅多にいないらしい。大抵は盾としてのみの使用らしい。なんて勿体ない。
弧月と旋空を取り入れたのは、単純に三成様っぽかったからだ。素早い太刀筋とそこから発せられる剣撃。夢に見た三成様スタイルだ。
スコーピオンは左近と半兵衛様。二刀流にすれば左近ぽいし、足からスコーピオンの刃を出せばよりそれらしい。多少耐久力は弱くなるが、鞭のようにしならせれば半兵衛様の刀らしくもなる。
アステロイドは勿論刑部さんである。赤子の頭ほどの大きさに分割したトリオンボックスを背後に光背のように連れて歩く。ハウンドを使えば敵を追尾できるというのも良い。
残念ながら秀吉様の拳一つでぶん殴るスタイルだけは再現できなかったのだが、(のちにそれもスラスターを使えば可能であることを知る)とにかく豊臣軍の戦闘スタイルの再現のためには8チップすべてが必要であり、シールドなんざ入れる余裕もなかったのである。
しかしそんなこと三輪に言えるはずもなく、もごもごと「レイガストはシールドにもなるからワンチャンある……かな?」と言いよどむ。
無論三輪にはなんだこいつ阿保かみたいな顔をされた。
話題を変えるために「ところで三輪はどうセットしてんの」と聞き返すと「相変わらず話題の変え方が下手だな」と鼻で笑われる。
そうこういいながらも素直に教えてくれる優しい三輪。
彼は弧月で近距離を、ハンドガンで中距離に対応するオールラウンダー型だ。
聞くとぎゅうぎゅう詰めの私とは異なり、三輪はチップにひとつ空きがあるらしい。
「いいなー、チップに空きがあるんならその分私にちょうだいよ」
バイパー入れたい、というとせめてシールド入れろと再び頭をはたかれた。
三輪は私を殴るのにためらいを持たない。まったく、なんてこった。