6 足並みそろえて

B級以上に上がると隊を組むことが許される。
許されるってことはあくまでも組んでもいいよって許可されるだけで、じゃあ別に組まなくてもいいってことですね、と思い、私は組んでいなかったし、組むつもりもなかった。
そんなある日のこと。

「俺と隊を組まないか?」
そう声をかけてきたのはローテンションロングレンジロン毛こと東春秋だった。
彼はスナイパーとしてかなりの実績と数多くの弟子を持った、つまりデキる男であった。
ラウンジでパックジュース(コーヒー牛乳)を啜っていた私は、なんだかこっちを見て明らかに近寄ってくる男からさりげなく逃げようと画策していたのだが、それ逃げるぞ、と立ち上がろうとした瞬間に捕まってしまったのである。私の腕も落ちた。

「隊、ですか」
結構です、という雰囲気を醸し出しているにもかかわらず東春秋はそれを意に介さず説明を続けてくる。
「今、上のほうから隊を組んで後輩を指導しろっていうお達しが来ててな。何人か優秀そうな子に声をかけているんだ」
さりげなく私を優秀そうと褒めてくる。ちょろいと思われては癪なので顔には出さないがちょっと嬉しい。私の戦いが褒められるということはイコール私を認めてくれた人たちの目が褒められているのとおんなじだからだ。

「他に、誰に声をかけてますか」
「今んところ加古と二宮に声をかけて、二人とも了承してくれた。あー、あと、三輪にも声をかけてる」
三輪、か。
彼も隊を組まないながらも優秀な成績を修めているらしい。

「三輪は何と?」
「少し考えさせてほしい、と」
慎重な回答だな。三輪らしい。
何を思って保留にしているのかはわからないが。

「いいですよ。東さんの隊に入ります」
そう答えると、東はそれまでの飄々とした顔から一変、これは予想外とばかりに驚いた顔をした。
「なんですかその顔……」
「いや、まさかこんなあっさりとOKが出るとは思わなくてな……」
迅が8割断られるって言ってたし。と東は言う。
誰だよ、迅って。何者だよ。
そう思いながら「まあ、残りの2割だったんじゃないですか」とか適当に答えておく。
東はにっと笑って言った。「でもよかったよ」
「きっと三輪も入ってくれるだろうし」
「……そうでしょうかねェ」
入るさ、と自信満々に答える姿が少し眩しい。

でも確かに、あいつに背中を預けて戦うというのも悪くないかもしれない。