てすら


 

「ふっざっけっるッッなーー!!」

そう叫んだのはカルデアスタッフであり記録係兼ニコラ・テスラの助手を務めている一人の女性だった。
豪華絢爛で華やかな広い店内、そこにいる人々は皆それなりの身なりをした者たち。怪しい笑みも悲痛の叫びも歓喜の勝利も圧倒的な敗北も、何もかも全てが揃っていた。某場所のここはカジノ──人の欲望全てが渦巻くその場所にいる理由はもちろん、遊びに来たわけでかない。

ここが現在微小特異点となり。
その調査と解決の為に来ていたのだ。

それはある日、カルデアのマスターとなる藤丸立香がいつもの如く消えたことから始まった。しかしながら珍しいことに藤丸立香のみならず、水着姿のルーラー獅子王、ちょうど先日スタッフからもらったアロハシャツを着ていた槍のクー・フーリン、そしてカルデア内で何人かとサイコロ勝負をしていたドゥリーヨダナの三人が共に消えたのだという。
そして、早急に事態を確認したカルデアがその四名がとある場所にいると知り、レイシフトを……となったとき、偶然通りがかったスタッフの一人であり。いまやニコラ・テスラのマスターとなってしまったナマエに目をつけた。
彼女は助手になる前からレイシフト適性が高く、サーヴァントたちの記録を担当する記録係であった。そのためレイシフトして欲しいと頼み、渋る彼女だったがどうしようもないことを知っているため結局諦めて首を振り、何人かを連れてレイシフトしたところ、早急に合流できたが、今回の聖杯を手にするためにはギャンブルで勝利しなければならないということだった。

そこはかのルルハワのような不思議な特異点でサーヴァントも一般客も問わずに存在している。
事情を知ったナマエは聖杯を手にするためのギャンブルのための軍資金をまず集めているところで協力して欲しいといわれたものの、幸運値の高いドゥリーヨダナやルーラーの獅子王がいるなら問題ないのでは?と思うが獅子王は何故か自身がディーラーとして立っており、ドゥリーヨダナは自分のギャンブルに夢中で、それはもう心から楽しんでいた。

そして藤丸立香はクー・フーリンとなんとかしてるというものの、幸運値がそれなりに関係するようだといわれたとき、彼女は後ろに並んでいる面々を見ては適正のあったメンバーとはいえ、これは手を焼きそうだと思うと何故か背後にいた、カルナ、ジークフリート、ディルムッドは自分の幸運値を思い出してはなんとも言えぬ顔をした。
女性サーヴァントは神性も高いメンツが多いため最適解だったが適性があるのが唯一そのメンバー、そしてさらに並んでいるエジソンとナマエのパートナーであるニコラ・テスラは互いに高笑いをした。

「私がいるとなればそれは勝利も当然ではないか!」
「抜かせ!いやはやマスター、ナマエくん、私に期待するがいいさ!」

「「なにおう!!」」

いつもの如く言い合う二人は放置して、チップを分けてそれぞれ得意な遊戯へと繰り出すこととなった。もちろん、自分をよく理解している面々はマスターの指示に従うとして自らがギャンブルに身を投じることはやめたが、顔のいいディルムッドや押しに弱いジークフリートはいつの間にか店のスタッフとして給仕を務めることとなり、それはそれで稼ぐためだとして良いとしていたが彼女にとっての問題はパートナーであるニコラ・テスラだった。

「博士やめときましょうよ」
「大丈夫だ、私を信じろ!」
「信じられないから言ってるんでしょ!?」

比較的簡単だと言ってテスラが宅についたのはルーレットだった、確率勝負であり下手なカードゲームよりも安全かつ理論に基づいてといつものようなことを言っているテスラだったが彼女は不安しか無かった。
それもそのはず、彼も大して幸運値は高くない。
生前を思い返せばわかることで、彼女は必死に止めたというのにその努力も虚しくテスラは自信満々に次々とルーレットを続けるのだ。しかし思ったよりも賭けは上手くいって、コツコツとした勝負で挑むテスラは「かつて痛い目にあったことがあるからな」と自信満々に言ってみせた。

ギャンブルは好まず健康的に生きてきたはずのテスラを思うと彼女胸を撫で下ろして、サングラスを掛けてすっかりと場に溶け込んでいたカルナがカクテルを片手にやってきた為よろこんで受け取ってみた。
長丁場の戦いになることや、ギャンブル以外でもなにか手段がないかとマスターに言われて探っているところであり、それでも表立って動くことは危険なためナマエやテスラたちはギャンブルをしにきた客として過ごすように言われ、すっかりと休暇か……と連絡事項を告げてカルナが去っていったとき、テスラの叫びが聞こえた。

「………なに、してるんですか」
「確実に勝てる勝負だと思って踏んだのだが、どうやら負けたらしい」
「負けたらしい……じゃなくて、私が今一瞬目を離した間に何してるんですか?てかチップ足りなく無いですか?r
「そこは大丈夫だ!チップを交換してもらった、これを元手に先程同様勝負して見せよう」

彼女はキレた。
目を離した隙にテスラの手元から大量のチップが消えており、さらにルーレットのディーラーはまさにカモだといわんばかりの顔でにこやかにテスラが出した大量のチップを回収していた。
カルデアからの支給もない、今や別チームは他のことをしており客に紛れていなければならない。しかしチップと無い今は追い出されるのも時間の問題であり、ナマエは自分の財布といえども泣け無しの程度しかないため、何処かにいるドゥリーヨダナに頼むかと思うと、遠くで彼の叫び声が聞こえた。それはいいものでは無さそうだった。

エジソン……は絶対にダメだとして彼女は考えていたが、テスラは「チップを交換してもらった」といった。
そのことに彼女は錆びた機械人形のように歪に彼をギギギ……という音を立てるかのように振り返った。

「なにと?」
「君とだ、当然だ、私の後処理は助手の役目である!」

その途端に彼女の両サイドには謎のバニーガールを着た女性がいた。有無を言わせぬ彼女たちは「借用書でございます」と笑って紙を見せてきては彼女の腕を両サイドから掴んだは連れ出した。

「このバカ交流博士ーーーッッ!!」

そうしてナマエは冒頭通りにブツブツと文句を言いつつ、現在この特殊な特異点のような不可思議な場所でスタッフの一人としてバニーガールにされていた。
テスラは後先考えずエジソンとの個人的な、いつもの電流戦争という名の喧嘩を初めて、慣れもしないギャンブルに手を染めた挙句、結果として彼女を担保にしてしまったのだという。もちろん取り返すから問題はないと約束してくれたものの、彼女はほかのメンバーにどうにかならないかというも、カジノのオーナーはテスラに貸した故にそれ以外からは受け付けないといいだしたのだ。

お陰様でナマエはバニーガールとして働くことになったものの、その制服に対して一体全体サイズがあまりにもピッタリすぎる故に、もしや嵌められたのかと聞きたいほどだった。
真っ黒なレザーにカッティングの深い王道レオタードのバニースーツに、首元にはつけ襟とテスラを彷彿とさせる、ネオンブルーのような水色の蝶ネクタイ、白いカフスのボタンは外すことの出来ないテスラから渡されたブレスレットのラピスラズリのような瑠璃色。数十センチの普段は決して履くことのないハイヒールに細い網目の網タイツ、頭には大きな黒うさぎの耳カチューシャに合わせた臀部の小さなしっぽ。見た目だけならば完璧なバニーガールであり、彼女が怒りを禁じざるを得ない。

「……っていうのに博士ってば」

彼女が呆れて向けた視線の先には大人しくスロットマシンの前に座ったテスラ、その横にはやはりエジソンがいた。
二人のせいでこうなっているのだと着替えて表に出されたばかりの彼女は苦言を呈してやろうかと思う時、すぐに仕事だと先輩バニーガールに言われてしまい彼女はテスラ達に文句のひとつもいえなかった。反対にルーラーの獅子王からは「よくお似合いですよ」と優しく言われてしまうと、あなた程の王が言うなら…と少しだけ思いつつ、手渡された銀色のトレーを片手にドリンクを片手にフロアを回る担当職を与えられ、彼女はひたすらに職務に励んだ。

情報収集はもちろん、歩いているだけでもバニーガールだからとチップを貰えるナマエは次第に悪くはないかもしれないと思えた。
周囲のバニーガールと比べると地味すぎる外見だが、それで衣装を着ているだけでこれならと思う彼女は残念なことに本質を理解してなかった。
こうした場に美しい女性がバニーガールをするのは当然のことだが、ナマエのような一見普通の見た目の女が無理やりに働かされている。という状態は一定数の男に需要があるのだ。

そのため、明らかな下心もあるというのに、ナマエ本人はこの状況を抜け出し、はやくに特異点から脱出する以外の頭はなかった。

それ故に気付けば彼女はとある席に呼ばれたと思えば客に取り囲まれてはドリンクの注文は当然のことながら、次第にそのウサギを捕まえようとする客人たちの魔の手に合おうとしていた。
チップを多めに出すから隣に座れ。楽しませてやるからゲームに参加しろ。などといった誘いが、次第に激しくなり。富裕層であろう客が彼女の細腰を抱いて今夜は自分専属のバニーガールにならないかと言われ、彼女が困り果てていた時、スッと彼女と音この間に伸ばされた。

「すまない、そちらのバニーガール、チップの換金を頼めないだろうか?」
「博士?!えっ……それどうしたんですか!」
「なに、私の統計学が正しかっただけの事だ、それよりも頼み事は聞いてもらえるのだろうか」

その相手はテスラであり、彼女が働き始めて数時間は静かにしていたかと思えばテスラはあれだけ負けきっていたはずが、既に倍、いやそれ以上の勝利を収めており、彼が座っているスロットマシンの台座は今もまだ大当たりの様子で、エジソンが変わりにボーナスの処理するようにボタンをタップしていた。
しかしながら、彼女を捕まえようとしていた客がテスラに文句を言おうとすると、テスラはどこか自信満々に一枚の黄金色のチップを見せた。ウサギの柄が描かれたそれはこのカジノ限定のロイヤルチップで、大量のチップと交換で入手出来る"バニーチップ"という、好きなバニーを持ち帰れる権利でもあった。

ナマエは当初それが何かわからなかったが、近くのスタッフに渡すなり笑顔でテスラはなにかのルームキーを受け取ると「さぁこれで我が助手は、我がバニーとなったわけだな!」と高笑いをした。
全く意味がわからないと思っていたが、近くの先輩バニーが丁寧に、そのチップで指名されたバニーは同意なしでチップ使用者とカジノ上階のVIPルームで過ごさなければならないのだという。

「なぁんだ博士だから安心……ってなんですかこれ!!」
「なにもこれもあるまい、私が君を買ったのだから当然のことだ」
「助けてくれたと思ったのに!博士のバカ!これが目的なんですか!」

わーわーギャーギャーと彼女が喚くのも無理はない。
あのままテスラにいつもの如く慣れたように抱き上げられてバニーチップを使用して与えられた部屋に入ってきたと思えば、そこは"ソレ"専用のようなもので、広い薄紫のライトが灯った不思議な雰囲気の部屋にはベッドのみしか無かった。
つまりは"そういうこと"というわけだが、それでもナマエは自分のパートナーであるテスラなら安心だと思ったが、彼女はテスラのその巨体でベッドの上に押し倒された、早速彼の左手で太ももの外側を撫でられていた。
それまでも客の接客に対して不安を覚えながらこなしていた彼女はあくまでも仕事、あくまでもカルデアに帰るためと努力していたのに、この男はと思うが彼は見下ろしつつも真剣な顔をして彼女を見下ろした。
何か不安や不満でもあるのかと思えた。
何せこの男はかつて彼女の体に"魅力的ではない"といって見せた男で、紳士の皮を被っていながらも巨乳好き(テスラ曰く電力供給が多い)の残念博士だ。またなにか悪い言葉かと思えば、彼は一度座り直すため、彼女も起き上がり、落ち着いてくれたのだろうかと安心すれば、テスラは自分の話を始めた。

「私は昔、それは本当に若い頃ギャンブルを好んださ、そしてとんでもなく負けたことを機にやめた。ビリヤードなどは嗜んでいたが賭け事はそれきりめっきりだ」
「いい事ですよ、それで結論は?」
「結果から求めるのは実に我が助手らしい、結論私はこういう場を知らないので堪能させてもらう!」

は……?と言ったナマエは左手の甲にある令呪を今こそ使ってやると思いながら目の前の男を睨みつけていた。
なにせベッドの下に膝をついて、ベッドの縁に腰掛けたテスラの足の間にいるナマエは彼のスラックスから現れた大きな雷撃棒という名のテスラのペニスに手を添えて舌を這わせていたから。
テスラは自分が勝ったもので彼女を買い戻したこと、そしてそういう場に来たことがなかったから楽しみたいという願望を合わせた結果、彼女に奉仕させて。本人はといえばそれを満足そうに眺めていた。

「ふむ…あまり急かすつもりもないが、もう少し電圧を上げてくれて欲しいものだな、咥えてくれナマエ」
「そんな、ぁ……ん"ぅ♡」

ナマエ自身気付かなかったのだろう。
このバニーガールの服に特別な術式が編み込まれており、バニーチップと呼ばれたあのチップの所有者の命令からは決して拒めないようになっていることを。
テスラはそれを理解していたため、早急に自分以外にそれを持っていないか確認の上、問題解決に勤しむ面々への手伝いではなく助手との時間を楽しむことに決めた。それは今回の事件が単純ではなく、時間がかかることとなり、テスラがルール通りに客人として稼ごうとしても

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