First national convention:Complete weapon 1


「終わっちゃったよーーー!」
「いやまだ終わってないよw」
「そーじゃないよー!そーいう意味じゃないよー!確かにまだ終わってないけどさー!」
「あの顧問かな。」
「多分そうじゃないかと・・・先日も幸村君を見て、結構要警戒みたいに思ってる風でしたし・・・」

しかし、紀伊梨を除く3人は、渡邊にあまり文句を言う気にならない。
確かに、これで幸村の全国は終わりなのかよとも思うけど、あのイップスの話を聞いた後にビビりすぎだろ試合させろよ、とはとても言えない。渡邊の判断は正しい。

そして、そうなると次に行われるのはS2。繰り上がった柳が此処で入る。

「やなぎー!頑張れー!」
「頑張ってください、柳君!」
「実際勝てんのかしら。」
「さあなあ・・・彼奴も彼奴で負けなしではあるから、あんま負けるビジョン見えねえけどなw」

そう。流石に幸村のように、相手が恐れおののいて進んで棄権するようなレベルではないが、柳と真田だって相当強い。この夏、幸村と3人揃って負けなしである。
ただ、流石に決勝戦ともなると危ういかも。という気持ちも多少は湧き出てくるのが人情であろう。

しかし、少なくともS3は勝ちという事になった。
少し軽くなった不安を抱えながら、ビードロズはS2が始まるのを見ていた。





「・・・・・・」
「これは・・・そうね、なんていうか・・・・」
「見とったら結構心にクるな。」

S2。氷帝勢は、柳のプレイに焦燥を抱いて居た。

関東大会で立海に敗れたあの日、三強の内柳だけは試合をした。
そして負けたわけだが、少なくとも氷帝は実際に柳のプレイを間近で見たのである。

(また強くなってる・・・)

関東の時点でだって十分強かった。隙が無い、なんて思っていたのに、今は更に鋭さに磨きがかかっている。

自分達だって、関東から全国までの凡そ一か月、強くなるために練習を更に重ねて成長した。
でも、柳が成長している程成長しているのだろうか。

いや。そもそも自分はあくまでマネージャーでしかないから。
だから部員の成長具合をそんなに正確に把握しているわけじゃないし、きっと皆も同じくらい成長してる。

そう信じてる。けど。

「・・・・・やるしかねえか。」
「えっ?ごめん向日君、何か言ったっ?」
「何も!」
「?そう・・・?」

ちょっと引っかかる気もしつつ、でもコートの方を向き直す可憐。
審判が柳の勝利を告げるのは、それから僅か数十秒後の事であった。





(えええええええええちょっと待ってくれ、これどうするんだ本当に、)

一条郁は、観客席で変な汗をかいていた。
いや、本人は変な汗としか思っていないであろうが、実際は正確に言うと興奮からの汗ばみである。

D2つ取られてから、S3を不戦勝で勝ち、柳もS2で勝利を飾った。
これで2勝2敗。序盤一方的にやられるかと思った戦局は、これでイーブンになった。

そしてそこからのS1ーーー真田のプレイが今眼前で始まっているわけだが、郁はこれに圧倒されていた。


「はあっ!」


真田がでかい声でショットを打つごとに、ドカ!という凡そテニスとは思えない音が響いて、それに被さる様に審判のコールが聞こえる。真田にポイントが入ったことを告げているのだ。
勿論、純粋に真田の迫力あるプレイに大して魅せられている部分もある。それもあるけど。

(こ、これで勝ったら・・・3勝2敗で勝ち越しだから・・・そしてこれが決勝だから・・・)

つまり、優勝。
日本で一番の座は、立海テニス部のものという事になる。

マジか。
例え自分が在籍してる部じゃなくても、自分が在籍してる学校から日本で一番が出るなんて。

(や、やっぱりテニス部なんて非凡の塊じゃないか!)

冗談じゃない。今でさえあんな目立ちまくり集団なのに、この上日本一の実績まで伴ってしまったら、いよいよ学校中の注目の的だ。

そんなのと関わるなんて。平凡な毎日の対極みたいな連中に近づくなんてそんな。

「・・・・・・・・」

そんなの、絶対嫌だ。自分のポリシーに反する。
今でもその考えは揺らいでない、けど。

でも、その声は段々小さくなってきているのも事実だった。


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