Plan

放課後。
音楽室に集合していたビードロズだったが、話題になるのはやはり連休の事である。

真田が言っていたように、纏まった時間が取れる機会というのは貴重である。
それは何もテニス部だけではない。ビードロズだって同じだ。

新しい音楽のインスピレーション。技術の向上。
それを目指してやるべき事は、平日になかなか出来ない何かをやる事である。


「お出かけしよーーー!!!」


紀伊梨が片手を上げて、高らかに叫んだ。

「お出かけ、ですか?」
「そお!ほら、今迄私達だけで遠い所は行っちゃ駄目だったじゃん?でももう、中学生だもんねっ!」
「良いんじゃない?俺も賛成。泊りは無理だけど、日帰り出来る範囲ならお許しも出るっしょw」

今迄は、自分達だけで徒歩の範囲から出る事は許されなかった。
皆で遠出した事はあるけれど、それは何時も保護者が居た。

でも、その縛りはもう無くなった。

「よーし、決まりっ!」
「では、何処に行くかですね。」
「そーねw誰かどっか、行きたい所ある?」

「東京。」

千百合が言った。

「・・・東京、ですか?」
「おおお!とーきょー!良いね良いね、大都会!」
「へえ?珍しいじゃん。何か目的でもあるの?」
「うん、これ。こないだのライブの事があったから、出すタイミング見逃してたんだけど。」

そう言って千百合が広げたのは、先日幸村から貰ったチラシ。


関東、レインボーフェスタの告知である。


「・・・・・・!」

「関東・・・レインボーフェスタ・・・中学生の部、という事は、私達出られるんですね!」
「へー!お前どっから見つけて来たの?」
「精市が教えてくれたの。ほら、私達、今迄こういう外部の人が見るような催しには出なかったでしょ?折角中学生になったんだから、こういうので成績残すの、目標にしても良いんじゃないかなって。」
「うんうん!良いじゃん!俺も出たいわ!」
「私も賛成です!紀伊梨ちゃん、紀伊梨ちゃんはどう・・・」

聞くまでもなかった。

紀伊梨の目は、宝物を見つけた子供そのものに、キラキラと輝いていた。

「出る!出ようよ出ようよ、絶対出よう!!!ねーねー、これって誰に言えばいーの!?何時やるの!?来週!?再来週!?どれくらい人が来るのかなー!」
「落ち着けw8月って書いてあるじゃんw」
「申し込みはもう始まってますね。」
「うん。だから、皆が良いって言うなら今日にでも申し込んどこう、っと!?」
「千百合っちー!!」

紀伊梨が千百合に飛びついた。

「ちょっ・・・重い!苦しい!」
「千百合っち、千百合っち、千百合っちー!ありがとー!愛してるー!」
「要らない。」
「ええええ!?」
「ふふふ。それで、千百合ちゃんは東京でこれの何を?」
「ああ、会場の下見をね。誰かが演奏してるわけじゃないけど、雰囲気は掴めるかと思って。」

勿論、ステージを見るだけで1日使うわけはないので、他にも色々行けるだろう。
只、1つ当てがあると他の予定はそれに伴って埋まるので、これで予定はスピード決定が見込める。

「じゃ、決定ねw今年のGWは、東京って事で。」
「はい!」
「ん。」
「よーーし!東京にしかない何か、皆で見つけよーーーー!」

「「「「おーーー!」」」」

東京にしかない何か。
自分の足で歩いて、目で見て、耳で聞かないと分からない何かを求めて、
ビードロズの東京行きは決まったのだった。


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