Learn 1

「可憐、お昼って何処で勉強すんの?」
「私達ついて行こっか〜?」

勿論ついて行こうかと申し出る理由は、道中で何かありはしないかと心配するからである。

「有難うっ!でも大丈夫だよ!忍足君が迎えに来てくれるから!」
「そうなの?」
「うんっ!ちょっと申し訳ないけど・・・」

でも有難いな、と本人のみならず全員が思っていたら、その忍足の姿が教室の入り口から見えた。

「お、オムカエだ!」
「行ってらっしゃ〜い。」
「うん!行ってきます!」

ノートを抱えて忍足の元に駆け寄って行く可憐の背を3人は見送った。

「・・・まめねえ。」
「忍足君って優しいよね〜。良い人で良かったな〜。」
「えー。」
「えー、って何よ真美。」
「確かに優しいし良い奴だケドさー、あーいうのって、ハッポービジンっていうんじゃねーの?」

あーいう、のくだりで内川は2人が居た方を指差した。
本人達が言ってしまった後で良かった、と伊丹は思う。失礼すぎだろ。

「あの程度で八方美人はないでしょうよ・・・普通じゃない。普通に親切って意味で。」

「あ〜、でも普通に親切って、便利な距離感だな〜とは思うかな〜。」

「朝香・・・」
「キッツー。」

榎本の発言に今、クラス中が我が身を省みてピクリと反応した。
誰でも多かれ少なかれ、そういう状態に甘えたい時はある。

普通に親切。
その気があると言えばあると取れるし。
無いよと言われれば無いよとも取れるし。

言うなれば超えたら戻れない線の線上を踏み進んでいるみたいな状況が「普通に親切」な距離感なのであって、転ぼうと思えばどっちにも転べるのが特徴である。
旗色が悪くなればそんな気最初から無かったという事にすれば良いし。
勝算があるならその気だったという事に出来るし。

最も都合が良いのは親切している側の話で、されてる方は悶々としてしまって溜まったもんじゃないのだが。

「八方美人、っていうよりは、天然ジゴロの方が近いかもよ〜?」
「も、もう止めて朝香?忍足君を見る目に影響してくる!」
「まっ、天然ジゴロって思われるのも、イケメンだからこそって気がするケドねん。」

内川の容赦ない発言に、クラスに居た男子達はちょっと落ち込むのであった。




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