Solicitation:3rd game 3

今。
集めてきたボールの、その最後の1球が、紀伊梨の振るラケットの僅か上を通過した。

そのままそれを仁王の左手が掴んだのを、丸井は見た。

「ーーーっしゃあ!」
「やった・・・!」

丸井は飛び跳ねて、紫希はその場に崩れ落ちた。

しんどい。
しんどかった。

走ったりこそしていないが、集中力を保ったまま同じ事を続けるのは体力を消耗する。

(つか・・・つ・・・疲れた・・・暑いです・・・)

初夏の気温に汗の噴き出る紫希。
くらっとするのは、動いたせいか高さの所為か。

しかし、兎に角やった。
自分達はやったのだ。

「春日!」

紫希はハッとして顔を上げた。
いけないいけない。
なんだかすっかり終わった気になって居たけれど、まだゲームの途中だ。

「は、はい・・・そうですね、逃げませんと、」
「ん?何の話?」
「え?」
「・・・っ、ははは!」

何って逃亡の話じゃないの?
と顔に書いてある紫希に、丸井はからからと笑ってしまう。

真面目かよ。
こんな時まで泥棒気分を忘れなくても良いと思うのに。

「そうだな、逃げないとな。」
「ええ・・・あ、でも下に待ち伏せが、」
「でもま、そういうのは一旦後にしてさ。」
「へ?」
「ほら。」

そう言って片手を上げる丸井が期待している事。

「・・・いぇー、い?」
「やっほぉい!」

パン、と打ち合わせた手の痛みが嬉しかった。


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