Wall 1
今日のC組の4限は英語だった。
そして授業の進み具合の兼ね合いで何時もより偶々少し早く終わり、その為に紫希と千百合は他のクラスの生徒より若干早く、食堂に行く事が出来た。
「んー・・・」
「悩みますね?」
「なんか、今日はピンと来ないな。開き直って購買にしようかな?」
「そうしますか?それなら、」
ブーッ
ブーッ
「ごめん、LINE・・・!?」
「?」
固まる千百合。
「千百合ちゃん?」
「・・・・・・」
「・・・千百合ちゃん。」
「・・・あの、紫希、」
(ああ。)
じわじわと赤くなる千百合に、紫希は思わず笑みが零れた。
本当にこの友人は女の子らしくて可愛い。
「お昼のお誘いですね?」
「・・・うん。」
「購買ですか?」
「うん・・・でも紫希は、」
「気にしないで下さい。私、2人が仲良くなさってるのが嬉しいんですから。」
そう言って、微笑みながら快く送り出してくれる紫希には感謝が絶えない。
「今度、絶対埋め合わせするから!」
「しなくて良いですから、遠慮なく幸村君の事だけ考えて下さい。ね?幸村君だって、きっと色んな事考えて誘って下さったんだと思いますよ。」
「ん・・・」
「それより、購買としても早く行きませんと。もうお昼休みは始まっていますから、混んでしまいますよ。」
「・・・うん。じゃあ、又後で。」
「ええ、後程。」
「本当に有難う!」
「いえいえ。」
駆けていく千百合を見送りながら、紫希は少し困った笑みになった。
千百合は義理堅い。
それは彼女の美徳である事は疑いようも無いのだが。
(なかなか伝わりませんね。)
どう言えば分かってくれるのだろうか。
大好きな千百合。
大好きな幸村。
大好きな2人がお互い思い合っていて、笑い合って居るのなら、友人としてこれ程嬉しい事は無い。
だから、それこそ今の状況程度の時は、自分の事など気にしなくて良いのに。
「・・・紀伊梨ちゃんも、棗君も、お付き合いしていないから、余計なんでしょうか?」
所謂恋人が居るのは今周りでは千百合と幸村だけだ。
だから千百合は自分達が友人から見てどう映るのか、良く分かっていないのかもしれない。
その内誰かが新たにお付き合いを始めたら、その時はもう少し遠慮なく行動してくれるだろうか?
などと考えながら定食の列に並ぶ紫希は、自分がそうなるという発想を一切しないのだった。
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