Wishes 1
「七夕か、風流だな。」
「はい、楽しみですよね。」
紀伊梨の流したグループLINEで、此方も七夕の話題になっているC組。
真田もこういう日本的な行事は好きだし、紫希も七夕は普通に好きだ。
逆に食指が動かないのは千百合の方。
「七夕ねえ。」
「なんだ。気に入らんのか?」
「面倒くさい。そもそも、お願いを捻り出すのが面倒くさい。お願いとか特にないし。」
そんな叶うかどうかもよく分からないものを無理矢理考えた挙句、紙に書いて神に祈って笹の葉に飾るとか言う、その一連の流れがもう面倒くさい。する意味が見出せない。
「そんな理由か。」
「そんな理由で悪かったわね。」
「ふん、下らん。「願い」と思うからつまらん物に見えるのだ。「誓い」だと思えば、我が身を引き締められる良い機会になるものを。」
「誓い?ですか?」
「ああ。正月の参拝などもそうだが、あれは神に願いを叶えてくれなどと頼むものではない。己自身に誓いを立て、その目標に向かって進んで行く気概を今一度確かめる行いだ。」
「成程・・・」
その発想は無かった。
こういう事は例えば「無病息災」「家内安全」など書く人がとても多いが、確かにこれらだって神様にお願いしたから大丈夫大丈夫なんてものじゃない。「無病息災」「家内安全」が一番大切なんだと自分で確認を取る意味もあるという事だ。
「真田君、凄いです。私そんなしっかりした考えーーー」
「面倒くせ。たかだか七夕にいちいちそんな重い事考えてられるかよ。」
「なんだと!」
「ま、まあまあ!考え方は幾つもあって良いと思いますから、自分に合った方針で楽しめば良いですよ、ね?」
「たかだか七夕でなんでああやっていちいち喧嘩出来るのかしらねー。」
「不思議よねえ。」
放課後までにまだこの話題で2回は小競り合いが始まるな。
と思うクラスメイト達は、夏までの間にもうこの光景にすっかり馴染んでいる。
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