Camp school:Mountaineering 1
「おー!そーそー、そーいうお話だったよー!」
「成程・・・それで、あそこがその神社なんですね。」
「お前さん前に一度読んどるじゃろう。」
「そだけど忘れちゃうんだもん!」
「情けない・・・情けないぞ、たるんどる!それでも精霊なのか、全く!」
「まあ、古今東西この手の伝説は色々です。聞こえの良いものばかりではありませんから。」
「気持ちはわからないでもないしな。人間らしい精霊で良いんじゃないか?」
「こういうの苦手。くそ少女趣味じゃん。」
「ふふっ。まあまあ、譲ってあげても良いんじゃないかな。あまり霊験あらたかだと、五十嵐が怖がるからね。」
「ああ、成程な。ホラーにしたら、彼奴ついてこなくなっちまうのか。」
「こういうものは、昼の方が成功率が高いから二重の意味で昼日中が望ましかったが。まあ、日中担任を1人引っ張って別行動は流石に許可が下りなかったのだろう。」
なんてさらりと言う柳に引っかかるのは千百合だ。
「確率もへったくれもなくない?見つかった例なんかあんの?」
「その言い方は語弊があるな。見つかる、という言い方に気を取られるからこの手の話は難しいんだ。」
「と、仰いますと?」
「便宜上どうしても探す、見つけるという表現になるが、実際問題それそのものの姿をそれと知覚することは極めて難しい。だが、そうでないのならそう難しい要求でない場合も多い。」
「ああ。成程、そういう事だね。」
「どういう事よ。」
「俺達の目的は、この逃げた精霊の行方を知ることなんだよ。だから精霊を見たり声を聴いたりしなくても、例えば『その精霊は最後には社に戻ったそうです』という証言を住人の人から取れただけでも、十分探し出したことにはなるんだ。」
「あああ・・・まあ、そうか。そうね、それでも良いんだ。」
「まあ、現実問題としてその辺が妥協ラインじゃろう。」
「とはいえ、それでも難しいとは思われますがね。」
「こういうのって、捕まえたら良い事あるだとかそういうのねえの?」
「あー!そーそー、良くあるよねー!見たらラッキーがあるとか、好きな人と結ばれますとか!」
「たるんどる!そもそも下心を以て神事に接するものではない!そんな事では見つかるものも見つからんぞ!」
「まあまあ・・・神事とはちょっと違いますし、それに棗君のことですから。精霊さんと幸運は関係なくても、見つけたら何がしかの景品があるとか、その位のことは考えていますよ、きっと。」
「ああ、しそうだな。それにもしかしたら、幸運もあるかもしれないぜ?好きな人は難しいだろうけど。」
「えー?なんでー?好きな人はダメー?」
「いや、この話の流れでそれを叶えてくれる精霊なんか居ないだろ・・・」
「そもそもお前、好きな奴とか居ないんだろい?」
「居ないけどー!でもほら!縁結びしてくれるかも!」
(縁結びなんてしてくれるのか・・・?)
(どちらかというと切りそうな気さえするな。)
(まあまあ、もしかしたらしてくれるかもしれませんし・・・)
温度差はありつつも、銘々に精霊探しに思いをはせる一同。
猫の鳴き声が、どこか遠くに聞こえたような気もした。
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