Camp school:Cowardly spirit 3


「あーるーこー♪あーるーこー♪わたっしはっ、元気ー♪」
「ふふ。紀伊梨ちゃんは本当に元気だね。」

明るいながら誰も居ない夜道。
通らない車。
鳴らないし、鳴らそうという発想も今や消えている携帯。

色々おかしな点に全く気付かないで、紀伊梨は夜の湘南を青年と行く。

「およ?」
「うん?なんだい?」
「・・・おにーさんもびょーきなの!?」
「え?僕が病気?」

青年は呆気に取られた顔で紀伊梨を見つめた。

「どの辺りが?」
「お目目!」
「目・・・ああ、これ。」

青年は目に軽く手をやった。
これね。
これ、病気じゃないんだよ。知らない人にはそう見えるかもしれないけれど。

ああ、でもそうだったなあ。
あの子もこの目が病故にこうなってるんだと勘違いしてたっけ。

そう。
それで自分は嘘を吐いた。
違うと言おうかどうか迷った挙句に、そうなんだと肯定を返した。

そして結果は。
招いた未来は御覧の有様だ。


ああ、ああ。
本当に自分は成長しない。


「・・・そうだね。治さないといけないね。」

そう言うと紀伊梨は安心を滲ませた顔で笑った。

「うんうん!そっちのが良いよ!猫ちゃんも病院に連れてってあげないとね!」
「そうだね・・・?」

青年はサッと後ろを振り返った。

「んお?」
「・・・いや。なんでもないよ。」
「?」

嫌な気配がする。

(あの神主め・・・)

「・・・紀伊梨ちゃん、少し急ごうか。もう夜も遅いし。」
「お!そーですな、よしゃ!じゃー巻きでいきやしょー!」

余計なことを、と内心で呟く青年。
いや、向こうからしてみたら余計なのは自分の方か。


どうせ、自分は余計な存在だ。
遥か昔から、それは全然変わっていない。




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