First region competition:The day before



『もしもし、紀伊梨ちゃんっ?』

「あ、可憐たーん!LINE見た?見た?」

『うんっ!楽しそうっ!私明日、跡部君に聞いてみるねっ!』

「やったー!」

紀伊梨はベッドの上で足をドタンバタンさせながら喜ぶ。
両親が持ち家で良かったと思うのはこういう時だ。

「でもべ様に聞くの?何を?」

『行って良いかって。ほらっ、私はマネージャーだから、やっぱり完全に自由行動は出来ないしっ!』

「ふーん?マネージャーは大変ですなー!」

何が大変なのかは薄ぼんやりとしか分かっていない紀伊梨だが、なんだか色々制限があるのはなんとなく分かる。こういう話を聞く度に、やっぱり自分には無理そうだなーなんて思ってしまう。

「いやー、明日はちょー楽しみだなー!試合も見られるし、可憐たんにも会えるし!」

『・・・・・・』

「お天気も明日は晴れだよねー!暑いから、おかーさんが凍らしペットボトル2本用意してくれてるんだお!・・・可憐たん?おーい、聞いてゆ?どったのー?ポンポン痛いのー?」

『・・・ねえ、紀伊梨ちゃんっ?』

「うにゅ?」

『紀伊梨ちゃんは怖くないのっ?』

「うお?何を?お化け?」

『だって、明日負けちゃうかもしれないんだよっ?』

紀伊梨はポカン顔をした。


明日負けるかもしれない。


まあ、そりゃあそうだ。その通り。
勝負をしに皆集まってるんだから、勝つか負けるかするのは当然の事。
当然の事なんだけど。


「ゆっきー達は負けたりしないんじゃない?」


紀伊梨は生まれてこの方、幸村がテニスで負ける姿というのを見たことがない。
だから負けるかもよ、と言われてもピンとこない。

頭では勝ったり負けたりするものだとわかってる。
でも心が全然信じていない。

聞きようによっては失礼である。
立海が負けないということは転じて氷帝は負けると思ってるということだが、実際問題本心から「負ける気しない」と思ってるのは確かなのだ。

だから、同じように可憐は氷帝に対してそう思ってるんだと考えていたのだが。


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