Rudeness 2
それから2、3日は平和・・・というか、特に異変などは無い日々が過ぎた。

休み時間になると、可憐と伊丹達の内の誰かが2人で気づかれぬように網代を見張った。
忍足に話をしたあの昼休みも、可憐は伊丹達に見ていてほしいと頼んでいた。
だから網代には何も問題は無い筈だ。
無い筈なのだが・・・


「・・・オカシーな?」
「どう見てもね〜。」
「主に・・・」


「「「可憐の方が!」」」


可憐は明らかにボーッとしていた。

傍目にはそうは思えないのだが、可憐を良く知るものならば直ぐ気づくだろう。

「ここ2、3日で転んだ回数は?」
「ハイ!1日当たり1回に激減しているであります!」
「物を落とした回数は?」
「見てないであります〜。」
「体を何処かにぶつけてる回数は?」
「それもトータルで3回くらいかな〜」
「ハンブン以下だな!」

それでも多くね?と思われるかもしれないが、何にせよ普段の事を思うと由々しき事態だ。

「具体的にいつからよ?」
「網代さんの話した日からかな〜?」
「その辺よね、やっぱり。」
「ショックだったのかなー!部活何時も楽しそうにしてたし。」
「うん・・・」

だからこそ言わない訳にいかなかったのが複雑な所だった。
可憐以上にテニス部に一生懸命な人間は周りに居なかったし。

「他に原因とか無いよね?」
「サア?」
「情報が少なすぎてなんとも〜。」
「だよね。誰か知ってそうな人居ないかな。」

伊丹は考えを巡らせた。
が。

「そりゃあアレだろ!」
「だよね〜。」
「他に居ないわよね。」

網代の話が原因かもしれない以上、網代に聞く訳にいかない。
そうなると候補が勝手に1人になる事に、伊丹は溜息を禁じ得ないのだった。

「しゃーない、昼に行くか!」
「オウ!」
「りょーかいであります、隊長〜。」

何処へか?
勿論、忍足侑士の元へである。

クラスでの事は自分達はお互い良く知ってる。
それ以外の時の可憐の事となると、彼以上に詳しい人間は居まい。

「じゃあ、今日の昼ね。真美は普段通り、可憐と一緒に網代さんの見張り。忍足の所へは、私と朝香で行くわよ。」
「ハイ!」
「は〜い。」






伊丹達が目下心配しているように、桐生可憐という少女がドジをしないというのはそれはもう大変珍しい事なのである。
息をするようにドジをするから、暫く一緒に居ると皆なんとなく習慣になってきて、そろそろ何かしそうかな?とタイミングを図るようになる。

何が言いたいかと言うと、今の可憐は部でとても浮いていた。

「おい侑士、彼奴どうしたんだよ!」
「今日も転ばねえぞ、どういう事だ!」
「そんなん俺かて聞きたいわ・・・」

まるっきり似たような趣旨の会話が同時多発的にテニス部で発生していた。
忍足、向日、それから宍戸の3人は挙って可憐の心配をしてしまう。

「でもよー、彼奴の事部で1番知ってるのは侑士だろ?」
「そう言うけどな岳人。幾ら俺かて分からん事は山程・・・」

「なら、逆だ。」

落ち着き払った声が割って入った。
跡部だ。

「逆?」
「岳人の言う通りだ。部で彼奴の事を1番知ってるのは忍足。次いで網代だろうが、2人とも何も知らないときた。それなら、部の外で何かあった、と捉えるべきだ。」
「つまり、クラスでか・・・」

(まあ、他にあらへんわな)

網代の件ではないか?という考えは真っ先に忍足の頭に浮かんだ。
あの後跡部にも話を通したので跡部も同じ事を疑ったが、これは却下された。

何故かと言うと、跡部より忍足より先に可憐は網代の件を知っていたからだ。
忍足に相談をしに来た際、何時もと変わらず転けそうになっていた網代の様子を覚えている。
網代の件が理由なら、あの時点で既にこうなってないとおかしい。

「あーっ!面倒くせえな、もう本人に聞けば良いんじゃねえのか?」
「それは最終手段にしておけ。」
「なんでだよ。」
「まーまー、亮。女子は色々あるもんなんだよ。それに、本人に聞くのは俺達より適役がやってくれんじゃん?」
「・・・まあな。」

その会話に忍足と跡部は顔を見合わせた。

「「適役?」」
「「適役。」」

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