First region competition:Second round
そうして各々の試合が進行している傍ら、ちょっと離れたところの事務所では可憐と黒羽が新城の救護にあくせくしていた。
「ええと、ええと、どうしたら良いのっ!?」
「上着のジャージを脱がせろ!シャツ一枚にして、風で仰ぐんだ!ええと、エアコンのリモコンは・・・」
また、こういう時に限って管理のスタッフは不在。
取りあえず御用の方はこちらへ、の番号にかけて、部屋使わせて貰ってると連絡はしたけど。
「嫌・・・日焼けしたくない・・・」
「言ってる場合じゃねえだろ!」
「真理恵、しっかりしてっ!ここは部屋だよ、屋根がある所だよっ!」
「ったく・・・んな事言ってっから熱射病になんかなるんだよ。」
「黒羽君、さっきも言ってたけど日射病じゃないのっ?熱射病っ?」
「あ?ああ、日射病と熱射病は微妙に症状が違うからな。此奴の症状は熱射病だ。おおかたさっきも日焼けが嫌だとか言って、木陰の掃除ばっかりしてたんだろうぜ。」
「・・・真理恵、そうなのっ?」
「・・・・・・」
ふい、と隣を向く新城。どうやら図星らしい。
「でも、木陰に居たんなら日向に居るより暑くないから大丈夫なんじゃあ・・・」
「そこが落とし穴なんだよ。熱射病ってのは日陰でもかかる。そもそも、日陰だから涼しいし平気だっていうのが間違いなんだ。日陰だって暑いもんは暑い。日影が無条件に涼しいなら、夏の車の中はもっと涼しいはずだ。」
「あっ!そっか、確かに・・・」
「今日みたいな風のない日は日陰にいても蒸し暑くて、結局汗を余計にかいてやられちまう。日向だから日陰だからじゃなくて、エアコン効いてる所以外信用するなよ。」
「黒羽君詳しいねっ!」
「うちは学校が海に近いからな。外遊び良くするし、近所の子供とも一緒になってテニスしてるから、この手の事は多少は知ってるんだ。」
「へえ・・・」
なんというか、黒羽が居てくれたのはまさに不幸中の幸いだった。
絶対自分一人だったら狼狽えるばかりでどうしようもなかった。
「有難う黒羽君、助かっちゃったよっ!」
「おう!でもまだ安心は出来ねえぞ、病院で診てもらわねえと。」
「そっか、そうだよね・・・・」
「いや・・・私・・・休めばまだ・・・」
「駄目だよ、何言ってるのっ!」
「そうだぜ。こういうのは、大丈夫って思っても大丈夫じゃないことの方が多いんだ。良いから大人しくしてろ。それから、お前も気をつけろよ。」
「私っ?」
「そうだよ、当たり前だろ?俺達は今日は勝ち進めば午後までずっと居るんだからな。」
そうだった。
いや、忘れてたわけではないのだけど、こういうのはどうしても心のどこかで「自分は大丈夫」という根拠のない驕りのようなものが出てきてしまう。
新城本人だって、自分は大丈夫と気を緩めていた結果こうなったのだろうに。
(そっか、そうだよね・・・なんだかんだでまだこういう暑さが原因のトラブルってなかったから、油断してたなあ。)
これはひと段落して戻ったら、部内で注意喚起だ。
「お!」
「えっ?」
「ドアの音だ。管理人が帰ってきたな。俺は事情を説明してくるから、お前はここでこいつのこと見てろ。」
「うんっ!有難うっ!」
本当に何から何まで有り難い。
「良かったね真理恵っ。黒羽君が頼りになって・・・真理恵っ?」
「・・・・・・」
「えっ!?ちょ、ちょっと待って、真理恵また顔が赤いよっ!どうしたの、ぶり返したのっ!?黒羽君、聞こえるっ!?悪いんだけどお茶をもう一本、」
「違う、良いの!そうじゃないの!あ、叫んだらまた・・・・」
「真理恵っ!」
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