Island of sun 2
観光しようぜ。
と言っても、もう午前に海に行って、たらふく食べてそれから身支度して・・・とやってたせいで、今はもう15時近い。
おまけに、今日は旅行っぽいが旅行ではない。あくまで「お出かけ」なのだ。
明日は平日で普通に練習があるから、日帰りで早めに家に帰る。
だもんで、観光といっても今から観光地でゆっくりするような時間は残念ながら今回はない。
だから、沖縄の雰囲気を楽しむ的な目的で可憐、向日、それに宍戸はまだまだ明るくて暑い沖縄の街を散歩していた。
「あっち!くそくそ、海から出るんじゃなかったぜ・・・」
「確かに暑いよねっ!帰る前にもう一回海に入りたいなあっ!」
「それ良いな!ちょっと早めに戻って、もうひと泳ぎするかなー。」
「・・・・」
「亮!どーしたんだよ?」
「宍戸君っ?」
先を歩く可憐と向日について行きつつ、どうも何かすっきりしない顔で歩く宍戸。
体調が悪いとかいうわけではなさそうだが。
「あ、いや・・・その。大した事じゃねえっつうか、俺が悩むことでもねえんだけどよ。」
「「?」」
「忍足って網代の事好きだったんだなーって・・・」
ぎく、と可憐の心臓が鳴った。
それは他人のとはいえ人の恋心という、言うなれば秘密にしておくべき事が人にバレているという事からかもしれないし。
もしくは他の理由からかもしれなかった。
そう、今回忍足と網代を先に行かせるにあたって、2人は半ば成り行きで宍戸に事のあらましを話したのだ。
可憐はちょっとどうかと思ったのだが、向日の宍戸は口が堅いし信用が置けるという言葉に頷いた。あと、どうせ隠したっていずれはバレるというやや開き直り気味な意見にも。
「え!おい待て、もしかして亮まで網代の事ーーーー」
「え、嘘っ!?」
「違う!そうじゃなくて!」
「じゃあなんだよ?」
「その・・・あれだよ。こう・・・俺はよ、部の中じゃどっちかってーと忍足にも網代にもまあまあ近い方だと思ってたんだけど、全然知らなかったっつうか素で分からなかったっつうのがちょっとショックというか・・・」
「ああそういうやつか・・・くそくそ、ビビらせんなよ!」
「そっちが勝手にビビってんだろ。」
「普通はこういうビビり方になるっての!」
なんでそうなるんだ、こっちの台詞だ、と軽く諍いになる宍戸と向日に可憐は苦笑するが、可憐的にはどっちかというと向日側につく。
というか、宍戸はどうもこの手の話題に若干疎い。というか鈍い。
「はあ・・・まあでもしょうがねえよ。あいつ等元々隠し事上手いタイプだし。」
「まあな。それは分かるけどよ。」
「後ほら、俺は亮よりもっと侑士に近いし、桐生も網代に近いし。」
「まあそれも・・・ん?」
それも頷けるな、と思った宍戸は同意しつつ別の考えが頭に浮かんだ。
「跡部は?」
「「え?」」
「跡部もあいつ等2人共と仲良いだろ?知ってんのか?」
「えええ・・・どうだろうっ?そんな話した事ないしっ。知っててもおかしくなさそうだけど、あんまりそういう事注意深く見たりしてなさそうって気もするしっ。」
「まあそうか。興味なさそうって言えばそうだな。」
王様は確かに部員の事に気を配っていると言えばそうだが、それはあくまで「部長として」という側面が強いと可憐は思っている。
要はテニスと関係があるかどうかが重要なのであって、そうじゃないことについては鈍いとは言わないまでも、左程アンテナを張ってるようには見えないのだ。
が。
「んー・・・いや。」
「えっ?」
「跡部は知ってんじゃねーかなー・・・とは思うぜ。」
「マジかよ!?」
「いや、確認はとってねーけど。でも何かこう・・・なんとなく感づいてそうな気がするっていうか、気配がするっていうか・・・ま、気のせいかも知んねーけど。」
「いや、岳人がそう言うんだったら当たりだぜ、多分。」
可憐もそう思う。
コミュ力お化けで友達リアルに100人居そうな人当たりの良い向日は、それ故か人の機微に人より鋭い。
向日の言う「彼奴こういう事考えてるんじゃねーかなー」は、大概その通りなのだ。
「そっか、跡部も知ってんのか・・・」
「だーかーら、あくまで俺がそう思ってるだけって・・・桐生?」
「・・・えっ?あ、何っ?ごめん、ちょっとボーっと・・・」
そうか。
跡部も知ってるのか。
跡部はどう思ってるんだろう。
やっぱりお似合いだと思ってるんだろうか。順当だと思ってるんだろうか。
「・・・・・」
ぎゅ、と何故か胸を内側から押されるような感覚がする。
なんだか、跡部が知ってるという響きが今なんだかとても気になる。
常日頃、跡部を部長様王様と崇めるくせがついてるからだろうか。
なんだか忍足と網代の仲が、それに太鼓判を押されたような気がして。
いや、良いんだけど。
目指すところはそこなんだからおおいに良いことなんだけど。
その筈なんだけど。
「桐生・・・桐生!」
「えっ!?はいっ!」
「ほら、行くぞ!土産見ようぜ土産!」
「あっ、うん・・・」
「さーたー・・・?なんだ?お菓子?」
「そうなんじゃね?何かドーナツ的な。」
向日に手を引かれてお土産屋に入ると、さーたーあんだぎーにちんすこうに紅芋タルトにと、沖縄色たっぷりのお土産が所狭しと置かれていた。
目移りする。
でも今はそれがなんだか有り難かった。
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