5周年記念企画:私のお嬢様
桐生可憐。
彼女は数か月前まで、大都市の郊外に住んで普通の暮らしをしていた普通の15才の女の子、だったのだが。なんと、ある日周辺地域一帯を仕切っているマフィアに協力をあおがれてしまった。
なんでも、とある大富豪の娘と見た目がよく似ているらしい。要するに、影武者になってくれないかと頼まれたわけだ。
もちろん、影武者なんて危ない目に遭うかもしれないことが前提なので、両親は嫌だと言った。でも協力をあおいできたマフィア・・・『氷帝』に治安を守ってもらってるのも事実なので、皆のために可憐は意を決して影武者の話を引き受けることにした。
それから数ヶ月間、令嬢としてのあれやこれやの知識などを詰め込まれ、今日はいよいよ影武者としての仕事がスタートする。
「・・・到着しました。」
「よし。降りるぞ。」
「は、はいっ!」
一目見てお金持ちとわかるような家に車で到着し、入るように促された。
とは言っても、ここは可憐の住む所じゃなく、氷帝のアジトのひとつ。
まずはここで、ボディガード役と合流する。影武者としてのお仕事の本格スタートはそれからと、可憐は聞いていた。
(どんな人かな・・・)
やっぱりボディガードだから、筋骨隆々の体格のいい男だろうか。いやでも、安心かもしれないが生活となるとそれじゃやりにくい。
いっそ女性だったりしないだろうか。無理か。
「侑士が中で待ってるから、打ち合わせが終わったら出発な。」
「侑士・・・?」
「名前名前。」
「あ、ああっ!じゃあ・・・失礼しますっ。」
向日が開けてくれたドア(貴族は自分で開けないらしい)を通って中に入ると、可憐は目を眇めた。
廊下に比べて部屋にはすごい量の日光が入ってきていて、眩しかった。
順光が過ぎて、目に痛い。
時間をかけてようやく目が光に慣れ始めた頃には、いつの間にか可憐の目の前に知らない少年が立っていた。
「桐生可憐さん?」
「あ・・・はいっ、」
「はじめまして。忍足侑士や、よろしゅうな。」
これがファーストコンタクト。
桐生可憐と忍足侑士の出会いであった。
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