5周年記念企画:híp híp hurrah!
案の定というのもおかしいし当然というのも変だけど、それからテニス部は始まった夏の大会を当たり前のように勝ち進んでいった。
今日は県大会の決勝。
そして、紀伊梨がチア部に借りられている最後の日でもあった。
次の大会までの間には、元々本来居るべきはずだったチア部の部員が戻ってくる。
別に、レンタル終わったからってテニス部と関われなくなるわけじゃない。
それはわかっているけど、でもちょっとさみしい。
そんな気持ちを紀伊梨も抱えて、この日を迎えた。
のだが。
のだが。
のだが、その気持ちはその日の朝、現地に集合して早々にひっくり返ることになる。
「あつーい!」
「今日もあっついよねー!」
「紀伊梨大丈夫?飲み物持ってる?」
「だいじょーぶです!おかーさんが、凍らしペットボトル用意しててくれ・・・あ!赤やん!」
「え?」
「おーい!赤やーんー!」
「あ、ちょっと紀伊梨・・・行っちゃった。」
「紀伊梨ってあーいうとこが鈍いって言うか。」
「ねえ?」
チア部では、紀伊梨も切原のことが好きなのであろう、という見方が当然のようにまかり通っていた。
元々紀伊梨は人懐っこくはある。男子の友達も多い。
だから分け隔てなく接しているように一見見えるが、ちょっと紀伊梨を知ってる人間からしたら、笑顔の種類が違うのはもうすぐわかる。
だから。
「赤やーん!」
「・・・!先輩、」
「おはよ!暑いね!でも晴れて良かったよねー!紀伊梨ちゃんもさあ、雨で踊るよりー−−」
「・・・・すんません。」
「え?」
「ちょっと今、あんたの顔見たくないんで、話しかけないでもらって良いっすか?」
「・・・・・・え?」
その言葉に、紀伊梨のみならず近くに居たチア部の部員までもが固まった。
どうして。
どうして。
「ー−−どう」
どうして、の「して」を言い切る間もなく、切原は足早に去ってしまった。
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