高尾の野暮な追及に、木村は快く応じた。曰く、高尾ならどうせ突き止めるだろうから、どうせなら正確な情報を教えたほうがいいから、だそうだ。
端的に言うかすべて話すかの二択を与えられ、高尾は迷わず後者を選んだ。木村は即決した高尾の頭を小突いて、それなら明日だな、と時計を見ながら言った。あと五分で授業が始まろうとしていた。ぎゃ、と叫んだ高尾は、バスケ部の足をフル活用して自分のクラスへ飛びかえった。
そして翌日。つまり今日。
本人から聞いた話だから、信憑性は保証するぞ。――そうして切り出された話は、出来の悪い少女漫画のようだった。
「どうやら事態はかなりこじれているようであります!」
「…………」
高尾が緑間に向かい敬礼して声を張るとすげなく無視された。冷たい男だ。抑えたといえど運動部、教室中に届いた高尾の声にクラスメイト達が振り向いたが、声の出所が高尾だとわかるとまたかといったようにそれぞれの世界に戻って行った。
「宮地さんのことだけどさ」額に当てていた手を下して、緑間の前の椅子に横向きに腰かけた。切り出せば、中指でフレームを押し上げた。
「木村さんから聞いたけど、原因は真ちゃんが見た先輩だってさ」
「気安く口外して良いことなのか、それは」
眼鏡の奥で、緑間が咎めるように睨んだ。誠実な緑間らしい言葉に高尾は肩を竦めた。
「2,3年間じゃ有名な話らしいぜ。1年まで広がるのも時間の問題だろ。むしろ広まってくれた方が互いに虫よけになるとか」
「……ふん」
緑間がもう一度フレームに触れた。許可が出たようなので、高尾は話を進めた。
「なんでも中学のときからの付き合いで、何回も同じクラスになったことあんだって。あの先輩――慈島さんっていうんだけどな――慈島さんは真ちゃんが見た通り抜けてるっつうかおっちょこちょいっつうか……んで宮地さんがその保護者的な? 宮地さん面倒見いいからなあ」
「手がかかりそうなひとだったのだよ」
「真ちゃんがそれ言う?」
「…………」
「ごめんごめん睨むなよ! ……本人たちは友達だっつってて、周りがそれにヤキモキしてる感じだそうよ」
「当事者たちがいいのなら放っておくべきだろう。他人が口出しすることじゃないのだよ」
「まあそうなんだけどなー」
頭の後ろで手を組み、うーんと唸った。
「何か事情でもあるのか?」
からかうラインを見極めるのが得意な高尾が渋っているのが珍しいのか、緑間が聞いた。
「そう。なーんか事情がありそうなんだよな」
木村の口から直接聞いたわけではないが、宮地に彼女がいない原因が慈島であるならば、宮地は慈島のことを多少なりとも好意を抱いているに違いない。慈島の方だって、昨日ちらりと見ただけでも宮地に対して心を開いていたように感じた。宮地が慈島に告白したとして、勝算はある……と思う。宮地は奥手という風にも見えないし……。
「人間関係が拗れてるニオイがする」
きりっとした顔で高尾が言うと、緑間がしかめっ面になった。