生駒さんとの出会い


 唐突に始まるんだけれど、生駒さんと私は相思相愛だと思う。

 生駒達人さん(19)と出会ったのは、私が高校入学と同時に三門市にやってきて、道に迷った時だったから、まだ桜が散り始めた頃の四月。道に迷ったきっかけは、父が三門市を見て回って家に帰ってくるといい、と言って私を車に乗せず、高校の前へ放置したからである。

 その時は入学式を終えて制服のままだったものだから、なんだか気恥しいし、スカートは長くって、もじもじしながら歩いていた。私は三門市にやって来たのは入学式目前の日だったから、右も左もわからず、とりあえず、と大きな建物の方に向かっていっていけばいいだろう、ととりあえずボーダー施設の方へ向かった。道中に交番があるといいな、と思いながら…。
 そんな気持ちを裏切られるように、すんなり大きなボーダー施設の手前まで来てしまった。足が疲れて、しかもころん、と段差に引っかかった拍子でローファーが転がっていっ、ああ、と追いかけていたら、そこにあの人がいた。
「お、片方の靴が転がってきてまるでシンデレラやな……これキミのやろ?大丈夫か?」
 そう言って、私のローファーを拾って私の足元にそっと置いては、自分を台にしてええよ、と言わんばかりに腕を差し出してくれた。かおは厳ついけれど優しい人なのだろう、と分かった。せっかくなので、疲労はもちろん、あまり言いたくないけれど自分の体の重みでふらついていたから、「し、失礼します」といって少し手を置かせてもらいながら靴を履くと、満足そうにその人は私を見て笑った。
 ドキリ、その笑顔で胸が高鳴って、ふうふうと私は息を整えた。
「あ、あの」
「ん?どうしたん……あ、もしかして、迷子?」
「あ……お、お恥ずかしながら、そうなんです……」
 別れる前に、と、すぐに言い当てられて少し恥ずかしくなりながら頷くと「どこに行きたいん?俺案内したる」そう言ってくれて、ほっとするどころかなんだか胸が高鳴った。
「えっと……は、恥ずかしながら引っ越してきたて道がわからなくって。え、えっと、○○っていう、所で………道を教えてくれるだけで、いいんですが…」
「ああ、せやったら割と近いとこやな……って、初対面で名前も知らん男に家までって言うのはアカンし、近くまででええか?」
「は、はい!家の周りだったらわかる…ので」
 こくこくと頷くと、じゃあまずはこっちのみちや、と言って歩き出す背中を追いかけながら、名前も聞いてないことを思い出した。


「…ここまででええやろ、あとはわかる?」
「あ……は、はい!」