泣き虫


「Are you ready,guys!?Let's party!!」

本陣に響く異国語。
弓張り月の立て前に蒼の陣羽織の総大将が腕を挙げれば兵士達の士気が一気に沸点に達する。

我等が奥州筆頭、伊達政宗。
弱冠19歳で広い領土を束ねる男。

今や天下の伊達男として良くも悪くも有名な政宗が幼少の頃、陰気で気弱な少年だった事を知っているのは側近の小十郎様、従兄弟の成実、そして幼馴染みの私くらいだろう。

まぁ、その頃の方が奥ゆかしくて儚げで、ただ純粋に、素直に優しかった等と口が裂けても言わないけど。
あの頃の政宗のままだったら、きっと伊達軍はここまで結束した確固たる軍にはならなかっただろうから、良い成長だったとう事にしておこう。

でもね、三つ子の魂百までって言うでしょ?

どんなに見栄を張っても、どんなに強くなっても、どんなに格好良くなっても、根本は変えられないんだよ。

戦場で兵士が斬り殺されても、貴方は絶対に涙をみせないで、刃を振るっていても私は知ってる。
勝鬨を挙げた後、必ず独りになって、ただ静かに泣いているの。
月が見える部屋で、音も立てずに涙を流して。
誰かの前では「寂しくなんか無い」とか言って強がってるけど、そんな事無いよね。
人一倍、寂しがり屋の癖に意地張って。

「政宗、」
「……っ!」

慌てて涙を拭う貴方がちょっと可愛くて、不謹慎にも顔が綻ぶ。

「いいよ、別に。」
「Ha!何言ってんだ、お前。」
「泣けば良いじゃん。」
「泣く?俺が?jokeも程ほどにしろよ。」

独りの部屋に侵入して、勝手に隣に腰掛ける。

「幼馴染み様に隠し事しようとは良い度胸ね。戦の後に毎晩泣いてんの知ってるんだから。」
「……?!……泣く訳、無いだろ。」
「隠さなくたって良いよ。」

月明かりで少し腫れた貴方の目許が露になると、隻眼の奥に寂しそうな光が見えた。

「……戦如きで泣くなんてcoolじゃねぇ、」
「そんな事、無い…」
「!」

視線を逸らしたら隙あり。
貴方に力一杯抱き着いて、言ってやるわ。




ほらね、根本は変わらない。

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企画:数様提出。
20080109
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ballad

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