get at MilkyWay


中々身を御固めにならない主君の為に、老中様が家臣の娘と順に見合いをさせると御決めになられてから幾許。我が家の順が巡ってきた為、御父様と青葉城に参った日の事で御座います。見合いがあるのに伊達様と来ましたら、御姿を眩ましてしまわれて、城内は上よ下よと大騒ぎで御座いました。
ですから、私はこの機に乗じて逃げてしまおうと思ったので御座います。
伊達様と言えば、御若くして奥州を統一した文武両道の美男子と噂されておりまして、何処の家の娘もこの見合い話には大層乗り気だったと拝聴いたしました。しかし私は、どうしてもその気にはなれなかったので御座います。
武家の娘ならば領主様との祝言はこの上ない喜びだと言いますが、夢見がちな私は源氏物語の様な目眩く恋物語に憧れておりました。故に喩え老中様の御命令でも政略での祝言は御断りしたかったので御座います。
伊達様不在に御父様も駆り出されて私への注意が逸れたのを見計らい、城内で隠れられる場所を探しているそんな折で御座いました。

「誰だ!?」
「!!」

此処ならば見つかるまいと忍び込んだ蔵の中には先客がいらっしゃった様で御座います。低い声に思わず肩が竦まりました。恐る恐る振り返りますと、蒼い羽織に鋭い隻眼の殿方が此方を睨んでおいではありませぬか。

「……伊達様でいらっしゃいますか…?」
「Ah?……ああ、アンタ今日の見合い相手か。」

御訪ねすしますと殿方は溜息を吐かれて目を逸らしてしまわれました。どうやらこの方が君主伊達様の様に御座います。
伊達様は蔵の中で蝋燭の灯りの下で何かを作っておいででした。

「伊達様、何をされているのですか?」
「見合いから逃げてんだよ。悪かったな。」
「そうではありませぬ。」
「Ah?」

舌を打ってそれは不機嫌に答えられた伊達様に私は首を振り、御手元を指差したので御座います。

「これは一体何なのですか?」
「これか?これは七夕飾りだ。」
「たなばた……?」

聞き慣れない言葉に首を傾げると、伊達様は楽しそうな表情を浮かべてられておりました。

「Yeah.大陸から伝わってきた七夕伝説をmotifにしたfestivalだ。」
「ふぇすてぃぼうる?」
「Oh,sorry.festivalは祭って意味だ。」
「まあ!御祭ですの!?どんな事をするのですか?」
「短冊に願い事を書いて、星に願うのさ。晴れてたら願いが空に届くって話だ。」
「晴れてなくては駄目なのですか?」
「Yes!これには理由があるんだが、興味あるのか?」
「勿論です!教えては頂けませぬか?」
「Ofcourse!いいか、さっき言った七夕伝説ってのが関係するんだが…、」

伊達様はそう仰ると、大陸伝来の七夕伝説について御話してくださったのです。
恋に落ちて仕事を怠った織姫様と彦星様に怒った天帝様が、2人を引き離し、大きな河で隔ててしまわれ、年に一度文月の七日だけ逢瀬を許されたのだそうで御座います。文月の七日が雨ですと、河が洪水して鵲にお手伝いして貰わないと会えないのだと、それが七夕伝説だと教えてくださいました。

「まあ……何と哀しい御話…。ですがとても御美しい御話で御座います。」
「奴等が手助けなしに会えないと、地上の願いは届かないんだろう。」
「では私は、短冊に文月の七日が晴れますようにと書きますわ!」
「Ha!!文月七日に飾るモンに書いたって意味ないだろ?」
「そうですか…残念です…。」

少々がっかりして項垂れていますと、不意に顎を捉えられ、顔を上げさせられました。
伊達様の御顔が、それはそれは御近くて心の臓が跳ね上がるのを感じる私とは裏腹に、伊達様は品定めをなさる様に私を見下ろしたので御座います。

「……アンタ、面白いな。」
「あ……有り難う御座います…?」
「Ha!何で疑問系なんだよ。……まあ、いい。アンタも七夕やるか?」
「!!宜しいのですか…!?」

ふっ、と顔を綻ばせた伊達様はそのまま私に問われました。
思いも寄らない御誘いに私は心躍り、心の臓が跳ねた事など忘れて、幼子の様に喜んだので御座います。

「勿論だ。但し、準備は手伝えよ。」
「勿論に御座います!」


get at Milky Way
どうか晴れますように!



Fin





毎年書こう書こうと思っていた政宗の七夕ネタ、漸くで御座います。
七夕伝来は江戸時代で当時の詳細は不明だそうですが……BSRだから、良いですよね!(笑)

20110707

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