モーニングコール


「すー………」
「オイ。何時まで寝てるんでィ。」

私の彼氏は

「ん〜………」
「起きろってんだよ。」

泣く子も黙る

「くー………」
「………いい度胸してんじゃねぇか。」

真選組一番隊隊長

「んぅ……、」

もぞもぞ……

「言う事聞かねぇ悪ィ子にゃあ、お仕置きですぜ。」


そして

「ん、何か擽った……ってぎゃぁああぁぁぁぁぁぁぁあっ!!!な、何してんだアンタァァァァァァァ!!!
「っち。変なタイミングで起きんじゃねぇよ。」

変態です。

モーニングコール

目を開ければ眼前には沖田総悟がドアップで、奴の手は私の鎖骨辺りに置かれていた。

「ちょぉぉぉぉぉっ!!!何しようとしてんのよォォォォォ!!!」
「聞くんですかィ?セ「やっぱいいやっ!!言わないでっ!!」何でィ、自分から聞いといて。」

だって普通言うと思わないじゃんっ!!サラッと言おうとしてるアンタが恐ろしいよっ!!

「何なのよ、朝からっ!!てか仕事はっ?!市中見廻りのはっ?!」
「朝じゃありやせんぜ。昼過ぎでさァ。それから今日は非番……だといいなァ」
それアンタの願望でしょーがっ!!!戻りなさいよっ!!土方さんが怒ってるわよっ!!絶対っ!!」
「何でィ。シイカは彼氏より土方の方大事だって言うんですかィ?」

相変わらず寝てる私に跨がったままだけど、しゅんと目を伏せる総悟。うわっ、やめてよ。私、アンタのその顔に弱いんだからっ!!!

「そ、そーゆーんじゃないからっ!!そーゆーんじゃなくて、えと、総悟の立場とかさっ!!隊長各がサボってたら駄目じゃない?」

私は慌てて前言を取り繕って、総悟の頭に手を回し、髪を撫でた。
寝たままだけど。

「………」
「ね?」

無言の彼が不安になって、顔を覗けば、伏せた目と対照的な口元が嫌でも目に入る。

……しまった!!!

「やっとその気になりやしたか?シイカ、今日は随分積極的じゃねェですかィ。」

思ったが早いかいい笑顔で顔を上げた総悟に背筋が凍った。

「な、何の事かしら?どんな気になったのかしら?」

いや、分かるよ。分かるけどもっ!!認めたくないじゃんっ!!
私は至って自然に上体を起こそうとする。が、

どさっ

「ぎゃ!!」
「うわ、可愛くねー」

肩を掴まれベッドに押し戻された。濁音混じりの悲鳴に総悟は顔を顰める。

「う、うるさいっ!!どーせ可愛くないですよっ!!」
「知ってらァ。でもそんな娘を可愛くする道具が世の中にはあるんですぜ。」

顰めた顔を今度は愉しそうに歪めて、ポケットから手錠を出して、がちゃん。
私の手に掛けた。

「ちょ!!何っ?!!何なのっ?!!」
「そうでもしねぇと逃げるだろィ?ちっと待ってなせェ。」

満足そうに頷くと、総悟は私の上から退いて、ベッドの下に手を突っ込む。

「…えーっと……この辺に………あ。あった、あった。」

引っ張り出したのはビニールに包まれた結構大きい紙袋。
……何、この嫌な予感。
てか見たことないんですけど、そんなん。

「な、何それ、何入ってんの?何で私の知らんものが私の部屋にあんの?」
「こないだ来た時、持ってきたんでさァ。」

ガサガサと袋を漁りながら、総悟はこっちに戻ってきて、ベッドに腰を下ろす。

「可愛くねー娘が可愛くなる道具。その1。」
「え?」
「ちゃらららっちゃら〜。ナース服ぅ。(ダミ声)」

ばさりと広げられたのは薄いピンクのナース服。大江戸病院の看護婦さんが来てるやつだった。

「は?」
「これぁ、7点の娘が着ると10点になる優れ物でさァ。シイカだってコレ着りゃあ5点にはなれますぜ。」
5点っ?!!微妙!!可もなく不可もなくみたいなっ!!てか何だ、通常だと2点だってかっ?!!」
「今は手錠してるから俺的に2点プラス。」
「つまり0点なんだなっ?!そーゆー事だなァァァァァァァ!!」
「あ、ばれちまった。」

業とらしく舌を出す総悟。
何だコイツっ!!彼女掴まえて0点宣言ですかっ?!!何で私こんなんと付き合っちゃったのっ?!!

「何言ってんでィ。シイカが告ってきたんじゃねぇか。」
「心ん中読まないでよ!!てか着ないからね、ナース服っ!!」

言うだけ言って私は身体ごとそっぽを向いた。
そして暫し訪れる沈黙。

「……あー、……」

それを破ったのは総悟だった。

「何時までそうしてるんでィ」
「………」
「………」
「………」
「………」
「………謝るまで。」
「ごめん(棒読み)。ほい、謝りやしたぜ。」
早っ!!てか、そんなんダメだしっ!!心こもってない!!」
「うるせィ。ごめんに心もクソもあるか。さっきの代わりに別のモンやるから機嫌直せィ」
「別のモン?」

ガサガサとまた紙袋を漁る音に身体を総悟に向ければ、またあの口元が目に入った。

「あっ!!」
「遅ェ。」

気付けば再び振り出しの体勢。
畜生!!また騙されたっ!!

「シイカはアホですねィ。唯一のチャームポイントですぜ。」

愉しそう笑ってで総悟は言った。
そんな笑顔にちょっとドキッとした自分が憎くてたまない。

「嬉しくないっ!!放してっ!!」

きっと染まってる頬が恥ずかしくて、顔を反らした。

「却下でさァ。大分御無沙汰だし。」
私が旅行行ってて会ってなかったからね!!だから会うの久し振りの意味ねっ!!!

口角を上げた総悟の言葉に紅潮は一気に引いた。誤解を招く発言はやめろォォォォォ!!!!私と総悟以外誰も居ないけどっ!!さっきの笑顔にキュンときた自分が恥ずかしいわっ!!!

「全力で照れるんですねィ。ま、いいや。」

総悟はそう言って、私の眼前にまた布を広げる。

「ナースが駄目ならコレで我慢しまさァ。」

ふわふわひらひらの可愛くて面積の狭い白。

「…………何コレ。」
「エプロン。」
「うん。それは分かる。だから?」
「裸エプロンは男のロマ「死ねェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェェっ!!!」……!!??」


mourning call
=哀悼の叫び。
勢い良く上げた足が当たったのは、男子の急所。
「な……な、に、……しやが、ん…でィ………っ!!」
「レスト イン ピース!!成仏しろ!!!」
「し、……死んじゃ…、いねェ、…っての………」



fin

20080427
*前次#


ballad

+以下広告+