今年もまたこの季節がやって来た。

沖田さんがいなくなった夏。


あれから随分と歳月は過ぎ、時代も明治へと移り変わった。
彼が亡くなった後も新選組は戦い続け、蝦夷の地で新政府軍に敗れたと聞いた。

あらゆるものが様変わりしていったし、私も結婚し家庭を築いた。幸せだと思える人生を送ってきたと思う。


しかしその陰で沖田さんのことを忘れたことはない。

夫のことはちゃんと愛している、そして沖田さんのことは大切な思い出の中で愛し続けていた。
どうしても忘れることなんて出来なかった。
過ごした時間は短かったけれど、確実に私の中に沖田さんは存在している。彼から与えられたものはとても大きくて、時には支えてくれた。


もし運命というものがあるなら、次に逢えた時にはしっかりこの想いを伝えたい。

ありがとう
そして私も愛しています、と

きっとまた何処かで逢える、そんな気がする。それに沖田さんはまだ私との約束を果たしていない。
それは生まれ変わってからかもしれないけれど必ず約束を果たすために再会する、彼ならやりかねない。


「絶対、逢えるよね…沖田さん」


沖田さんと過ごした日々に思いを馳せて私はあの日と同じように瞳を閉じた。