神は死んだ。

はい。白斗でございまーす。
零さんを待っていたら、零さんがナイフをもってる犯人追っかけて、気づいたら俺、人質に取られていました。
てなわけで、来週の白斗さんは〜〜、白斗の命運、ナイフに罪はない、犯人発狂する、の3本でお送りしまーす!

「……とか脳内でやってる場合じゃないな」
「くるな!くるなくるなくるなっ! 近づいたらコイツを殺すぞ!」
「くっ、その子を離せ!」

零さんの険しい顔が目に入る。
俺は降谷零がいるというだけで何とかなりそうな安心感があるんですが。

「車を用意しろぉおお!」

犯人のナイフが少しだけ首を切りつけ、血が流れる。
あ、俺、痛み感じないんだった。

「白斗!!」

零さんは俺を見て、もう車を用意しそうな勢いだ。
あー、んじゃあ、怒られるかもしんねーけど、ちょっと無茶すっか。

「この子供っ、一体何しっ、ひ、ひぃい」

包丁の刃を手で掴む。血が流れるも無表情で刃を遠ざけようとする俺の姿にビビったのか犯人の力が緩む。
その隙にナイフを犯人の手から抜きとり投げ、俺も抜け出す。
別に痛くはない。

「零さん! 今!」
「っ!!」

そう叫べば、零さんは我に返って犯人を流れるように倒し、抑える。
この時、ようやく警察のサイレンが聞こえてきた。

零さんが犯人見つけるの早すぎて警察来てなかったんだなぁとか思う俺。

警察に犯人の身柄を引渡し、零さんも俺はも事情聴取……だけど、俺は怪我をしているし、子供だし、零さんだけ行くことに。

「……白斗」
「? 零さん?」

急に抱きしめられたらちょっと驚くんですが。また子供体温とか言うやつですか。

「あんな無茶するな……っ!」

抱きしめられる力が強くなる。

「俺がちゃんと守るから……! もう、今回みたいなことはするな」
「……うん」

今まではまだ少し、漫画の中の登場人物、降谷零として零さんを見ている節があった。
けれど、こんなに近くで体温を感じてしまえば、もう、そうは思えない。

「零さん、俺、零さんだから大丈夫って安心できたんです」
「俺、だから……?」
「はい、だから、立派な警察官になってください」
「っああ! もちろんだ」

こうして俺と零さんの、初!水族館デートは終わりを告げた。

家に帰れば、両親に散々心配された後、意気揚々と、

「海行くわよ! 海!」
「はぁ、って俺は入れないじゃん」
「3人で行きたいのよ!」
「えー、まあいいけどさぁ……」
「来週だから、準備しといてね」

この最近の俺のフラグの回収具合からして、なんか嫌な予感がすんだよなぁ……。


とまあそんな事があったので、とりあえず厄祓いだけしとくか、と近所の神社目指して歩いていた時だった。

「あれ? 新一?」

新一が少し涙目で公園のベンチに座っていた。
よく見ればかなり盛大に膝を擦りむいたらしい。

「よぉ、新一、どうしたんだ? それ?」
「あ? 俺はしんいちじゃねーよ、誰だよお前」
「んだとこらー」
「俺は黒羽快斗、しんいちって奴じゃねーよ、人違いだろ」
「……ぱーどぅん」
「人違い、俺は黒羽快斗だっつってんだろ!」

痛みでイライラしているのか半ば叫ぶようにそう言い切った。

俺、神社に行ってももしかしたら意味ないかもしれない……。