再会は計画的に
どうも神社に行きそびれたのが原因なのだろうか、俺のこの体質は治る気配を見せない。
「また迷子か?」
「いや置いてかれただけです!!」
あれ、それも結構悲しくね?
てか赤井さんという先客がいることだし、別の場所探すか。
「どこに行くんだ?」
「いや、赤井さんがいるんで」
「別にここでいいだろう」
「ヴェ」
変な声出たぞ。そしてさも当然かのように俺を引き止めるので、俺もなんとも言えない。
「じゃあお言葉に甘えて……」
とりあえずどこに入ればいいのか分からないので、赤井さんの寝ている隣のビーチチェアに、横向きで赤井さんに向かうようにして座る。
……何してんだろ、俺。
と思っていると、向こう側からどこか見たことあるような、というか確実に見たことのある顔がこちらに歩いてきていた。
「久し振りだね……秀一兄さん」
「ああ……七年ぶりか……大きくなったな秀吉……」
そうだよね!!秀吉さんだよね!!あっれれー、おかっしーぞー?なんか見たことあるぞ、この展開。
「ところでそっちの子は……? あ、そうか、うん、結婚おめでとう、随分と、その、早いね」
「いや違います」
むしろどこをどう見てそう思った。
「あの、俺、如月白斗って言います、あか、えっと、秀一さんのお友達? というか秀一さんが恩人? と言いますか」
説明が難しい。小学生と大学生が友達って中々厳しいしな。
「こいつの迷子を俺が助けた」
「ですね」
赤井さんがシンプルにそう説明してくれたので、俺もすかさず乗っていく。
「俺は赤井秀吉、よろしくね」
「中学生でプロ棋士、尊敬です!」
「ボクのこと知ってくれてるのかい? 嬉しいなぁ」
そりゃ知ってますとも。前世レベルで。
そしてさっきからちらちらと見える真純ちゃんらしき女の子が気になります。
「ああそうだ、ホラ、お前も挨拶しろよ! 会うの初めてだろ?」
「は、初めまして……真純だよ……」
こう言ったらすごく精神的に犯罪臭が出るんだけど、普通に可愛い。
恋愛対象的な意味じゃなくて、父性もしくは兄心的な意味で。
「ん? 誰だ? そのガキ……」
「いや、どう考えても赤井さんの妹でしょ」
「ん、ああ、そういやぁ俺が渡米する前、母さんの腹が膨らんでたな……」
「赤井さん鋭そうに見えて意外と鈍いですよね……」
「……心外だ」
拗ねても鈍いものは鈍いですからね?
しかも真純ちゃんにビビられてるし。
「あの、俺、白斗、よろしくね、真純ちゃん」
「……うん!」
うーむ、守りたいこの笑顔。
「そういえば、メアリー母さんは? 兄さんのホテルに迎えに行って一緒にここへ来たんじゃないの?」
「ホテルで母さんとちょっとやり合ってな……母さんの手刀を目に受けてお陰でこのザマだ……」
いやいや、どんな親子喧嘩だよ……。手刀って。
「俺も二、三発食らわしたから今頃氷で冷やしてるんじゃないか?」
ってあんたも食らわしたのかよ。
すごい親子だな……。
「頭を冷やすのは貴方の方よ……」
あ、もしかして修羅場?