貴方の右隣。※if

※スコッチを救済できなかったif。
夢主が高校生ぐらい。
ほんのりBL


いつも、零さんの左を歩いていた。
もとより左側を歩くことが多かったこともあるが、それだけでなく零さんは俺を左に歩かせた。

俺もそれを察していて、特に気にすることもせず左側を歩いていた。

零さんの右隣には、常に誰かがいるようだった。
俺を左側に、その誰かを右側に。
零さんはその手一杯に大事なものを抱えて生きているように見えた。

零さんが潜入捜査を始めてから会う回数も少なくなっていた。

その日は、ずっと雨が降っていた。

「メール……?」

メールは零さんからで、その内容はたった一言。

《会いたい》

(会いたい……っても零さん潜入中じゃん)

苦笑を漏らしながらもこの前教えて貰った零さん……これから安室透の家になるであろう家に向かう。

とある高級マンションの前に着く。
相変わらずでかいな、と顔を顰めていると、マンションの前、雨に打たれる見慣れた顔を見つける。

ーー零さんだ。

「ちょ、零さん! 何してんの?!」
「ーー、白斗」
「零さん、ほら、中に入らないと風邪を」

力強く、引き寄せられる。
少し痛いぐらいに抱きしめられる。
けれど、その腕はどこか力がないように思えた。

「……零さん、風邪、引きますよ、中入りましょう」

抱きしめられたまま、そう声をかければ無言で手を引かれる。
右手で、俺を引っ張る。

家の中に入る。
零さんは終始無言だった。

「零さん、タオルどこですか?」

無言で零さんがタオルを持ってくる。真っ白なタオルだ。

無言で零さんの頭を拭く。少し荒っぽいのはご愛嬌だ。

「今日は、映画でも見ますか?」

また、力強く引っ張られる。
ソファの零さんの右隣に座るような形になる。


「……った……、守れな、かった」
「……」
「すぐそこにいた、なのにっ……」
「零さん」
「もっと、もっと上手くやれたはずなんだ」
「零さん、」
「俺が、もっと」
「零さん!」

どこか虚ろで、そして復讐に満ちた目。
零さんの右隣、手一杯に抱えていた守るべきものはその手から零れ落ちて言ったのだと知った。

「白斗、お前は、いなくならないでくれ」

今度は、本当に強く、離すことなどないとでも言うように抱きしめられる。

「俺は、ここにいますよ、ずっと、そばにいますから」

そう言って俺は、零さんを抱き締め返した。



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多分この後、白斗君に依存しちゃう過保護な降谷さんになると思います。
実はこっちを本ルートとして、病んでいく降谷さんを書いてみたい気持ちもありましたが、やっぱり救われてほしいからボツ案になったifルートなのでした。