「花見がしたい」。スタジオで集まって次のライブではどんな演出にするとか曲目はどうするとか、色々話し合っていた最中、突然プロデューサー(の卵)のなまえがそう言った。話し合っていたとは言ったが、肝心のグループのリーダーは奇行により不在、さらにメンバーの一人はスタジオの隅の仮眠スペースに立て篭もって不在。普通はここでいないメンバーを探し当て、話し合いに参加させるべきなのだろうが、多々こういうことは起こる上正直面倒くさかった。……ちょっと、なんか文句あるわけ?
……話を戻そう。とにかく、仕事の大真面目な話の最中だ。なまえもちゃんと話し合いに参加していた。何もおかしいところはない。
「瀬名先輩聞いてます? 花見がしたいです」
「聞き間違いじゃなかった」
一片の望みにかけて、最近忙しくてついに幻聴が聞こえ始めた自分のせいだと思いたかったのに、なまえは見事なドヤ顔で死刑宣告を放つ。なぜ死刑宣告と言うのか?そんなの簡単だ、嫌な予感しか既にしないからだ。
「泉ちゃん、幻聴じゃないわ。だってなまえちゃん2回も同じこと言ったのよ、現実よ」
「そうですよ瀬名先輩、受け入れましょう。お姉さまはこういうお方ではありませんか」
「ちょい待ち朱桜きゅん。こういうってどういう」
「常人では思いつかないような素敵なお考えをお持ちの方だという意味ですよ(朱桜きゅん……?)」
「そうかなら許す苦しゅうない」
「「(チョロい……)」」
「だから花見がしたい」
「"だから"の使い方おかしいから!第一今話し合いの最中でしょお!?」
「何言ってんですか瀬名先輩。季節は春。春といえば桜。桜といえば花見。せっかく桜の木たくさん生えてるんですから行くしかない!」
「ダメだ話が通じない」
「花見……花見とは具体的に何をするんですか?」
「花を見る」
「アバウトすぎるわ!」
「話し合いなんて別にこんなとこでこもってやらなくてもいいじゃないですか〜〜!!花見がしたい!外で遊びたい〜〜!!!!」
本格的に駄々をこねだしたなまえはもう手に負えない。もともと、一度言ったら聞かない質なのだ。項垂れる俺とその肩に手を置いて哀れむように微笑むなるくん。哀れまなくていいからコイツを何とかして。かさくんに至っては花見についてなまえからレクチャーを受けている始末。こいつホント仕事する気あるのか。
「……百歩譲って花見をするとして。くまくんは置いといて王様どうすんの」
「花見の絶好のロケーション探しのついでに取っ捕まえて連れてくる」
「王様一応アンタの先輩だからね?分かってる?」
どう考えても先輩相手に行う行動ではない。