今日は休み、久々に昼まで寝ようかなーと思った時に限っていつもの時間に目が覚めた。
ごろん、とベットに転がって携帯を開いた途端にドアがノックされる。

「真梨、起きとるか」
「寝てる」
「起きとるやんけ、暇やったらラリー付き合うてくれへん?」
「は?」

ちょっと何言ってるか分からずに体を起こす。ドアを開けば練習着に身を包んだ侑士が居た。

「練習じゃないの」
「……と思うやろ、オフやねん……失念しててな……」
「アホカスじゃん」
「せやからデートのお誘いや」
「キモ……でもまぁラリーくらいなら良いよ、昼まで寝ようと思ったのに起きたから」
「30分後でええか?」
「おん」

ちょっとどいて、とドア前に立つ侑士を押しのけて顔を洗いに行く。む、寝癖がすごい。まぁ髪の毛纏めちゃえばいいか。適当に髪を一纏めにし、お団子にする。

「侑士ー、飲み物ー、私の分も」
「わがままやなあ」
「あ?」
「ほんまあたりが強いわ……」

シャコシャコと音を立てて歯磨きをする、やべ痛えなと思ったら歯茎が腫れてたみたいで血が滲む。

「真梨」
「ん、何?」
「おにぎり、何も食うてへんやろ」
「支援物資だ、食べながら行くわ」
「具はこんぶやで」

運動靴の紐をぎゅ、と結び玄関を出ると侑士からおにぎりを託される。テニスラケット含め荷物は侑士が持っているから私は歩きながらおにぎりを食べるのに専念出来る。


***


「丁度1面空いとるな」
「動けるかな」
「六角でやっとるやろ、ラリーくらい」
「まぁ、剣太郎とかはシゴいてる」
「剣太郎?……ああ、1年だけど部長の奴やんな」
「うん、坊主」

肩を回す、一応こちらは寝起きなもので体を解さないと変な怪我をしかねない。

「……真梨とラリーなんて久々やな」
「中学なってからしてないでしょ、氷帝と六角じゃスケジュール全然違うし」
「謙也とも離れとるしなぁ」

よっ、とラリーを始める。久々に普通のラケットを握ったからかちょっと感覚が違う。

「なんや、動けるやん」
「ラケットが違う、変な感じ」
「こっちからしたらあの長いラケットの方が変や……」
「慣れればそうでもないよ」

しばらくラリーを続けていると垂れてくる汗、休憩!の合図で手をパーにして前に出せばほぼ同タイミングで飲み物を補給する侑士。こう言う時ちょっと血を感じて嫌になるな……。

「なぁちょっと試してええか?」
「とことん私を動かそうとしているな、カスめ」
「まぁまぁ、運動なるで?」
「五月蝿い」

ラリーを再開したあたりで違和感に気づく。

「侑士、お前……心閉ざしやがって!」
「岳人のマネやめてくれへん……?」
「分かる?ニワカなんだけど」
「真梨とラリーしとるとブレまくるんやけど」
「心がブレてるんじゃないですか?」
「アホ、なんでやねん」


***


「一生分の汗かいたかも」
「ええやん、たまには全身運動は必要やで」
「もうお昼じゃん、そろそろ帰ろうよ」
「せやなぁ、そろそろ帰るか」
「ラーメン食べたい」
「帰ろう言うたやんけ」
「侑士は食べなくて良いよ」
「アホ、腹減ったわ」
「共犯な」
「真梨と共犯……ええな……」
「キッショやめろよ」
「愛やんか」

そういえばあそこのラーメン屋、やってるのかなって呟けばまだやっとったで、と侑士。
塩ラーメン、食べたいな〜と考えながらラケットバッグを背負う侑士を眺め見た。



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