「国光」
「なんだ」
「これ食べてみて」
「なんだこれは」
「いいから」
「……む」
「不味いでしょ」
「なぜ」
「私も不味いと思ったから」

なんとなくパッケージで買ったグミ、食べてみたら美味しくなくて国光に無理やり食べさせてみた。
案の定眉間にシワは寄るしその状態で私を見てきた、共有だよ共有。

「じゃ」
「それだけのために態々ここに来たのか」
「そうだよ」
「暇なのかと思っている確率、98%だな」
「猫飼いなのに乾くんじゃん」
「名前は関係ないよ」

ここに、と国光は言ったがここはテニスコート。つまりテニス部の活動時間な訳だ。
今は休憩時間だった様で遠目から見ていた部員群の中から乾がやってきたが。

「乾も食べる?」
「頂こう」
「俺は感触が好きではない」
「私はプラスで味も」
「……僕は嫌いではないね」
「ええ、ほんとお。これあげよっか?」
「好きでもないけどね」

もぐもぐ、と吟味する様に食べる乾を私と国光はじっ、と見つめた。
噂に聞く乾汁というやつで耐性はついているのだろうか、それか味覚があれなのか。

「あ、国光」
「なんだ」
「週末行くかもって行ってた、私は行くかわからないけど」
「来ないのか」
「めんどくさい」
「そうか、俺は来て欲しいが」
「えーじゃあ国光くんのために行きますよー、起きんのがめんどくさいんだよ」
「ああ」

こんなやりとりをしていると乾から意味ありげな目線を頂いた。何?と声をかけてもなんでもないよ、と逸らされるだけなのだが。

「じゃ、部活頑張って。お先ー」
「気をつけて帰るんだぞ」
「猫の集会は早めに切り上げておくのが良いよ」
「あいよー」

後ろ手でひらひらと手を振る。私は帰宅部なのでこのまま帰ります。お疲れ様でした。


***


「あれ、都ちゃんじゃん」
「真梨ちゃん?残ってたの?」
「うん、国光にちょっかいかけてた」
「それが出来るのは真梨ちゃんくらいだと思うんだよね」

校門近くでばったり会った都ちゃん、なんで仲良くなったかは覚えてないけど多分クラスがどっかで同じだったはず、記憶無ごめん。

「そうだ、これ食べる?」
「何これ?見たことない」
「いいから」
「……なんか変な感触しない?」
「だよね?これ乾に食べさせたら嫌いじゃないって言ってたんだよね」
「ええ」
「国光はあんま良い顔しなかったけど」
「まって手塚くんにも食べさせたの」
「うん」
「ああ、うん、そうだよね……」
「よし、乾の味覚がちょっとおかしいという確証を得た。ありがとう都ちゃん」
「協力できたのなら、何よりだよ……」



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