階段の下で白石と話とったら上から聞き慣れた声がした。
咄嗟に顔を見上げると階段の上で転けたと思われる、真梨。

「あかん!」

この時ばかりはスピードスターでほんまよかったわ、神に感謝やわ。
真梨の下に回り込んで下敷きになる覚悟やった、けど真梨がそうはさせてくれへんかった。
床に倒れた俺の顔の横に肘をついて俺を潰さへんように乗っかってる真梨見て、俺抱かれたんかな。って錯覚したわ。

「ごめん謙也、大丈夫?」
「お、おお、おん!むしろ転けたん自分やろ!?大丈夫か?!」
「元気元気のんたん。てかなんかこれすごい体勢だね、ごめん」
「謙也が助けに行ったと思ったら謙也が襲われとったわ……」

ハッとする、そうや。俺だけやない、こいつ、白石もおったんや。
両手で口元隠したかと思えば顔逸らしよる、なにウブな反応しとんねん!

「ごめん白石、謙也食べちゃった」
「ちょ、ちょ、ちょお!」
「大丈夫や、多分謙也も本望やと思う」
「ちょちょ、ちょ!!!!!白石!!!!」
「あ、そう?」
「謙也安心してくれ、ばっちりや」
「おん、あんがと。あとで送ってくれや、じゃなくてなあ!」

立ち上がった真梨に手差し伸べられて無意識に握って気付く。
俺、今真梨と手繋いどるん……?

「う、うおおああ!」
「何……傷付いた……いくら私の手が床触ったからって」
「ちゃうちゃう!ちょ、笑うな白石!」

咄嗟に振り払ってしもた、傷ついた素振りを見せる真梨に近寄るも白石は爆笑しとるし、あれ。真梨なんか肩震えてへん……?ってこいつわろてるやん!!!!

「はー、おもろいね謙也」
「な?からかいがいあるやんな」
「可愛がりたくなるよね」
「自分なら多分許してくれるで、可愛がってみ」
「あ、ほんと?よしよししていいかな」

2人で勝手に話して近寄る真梨、ちょ、ちょお。と手で制しても隙間からするりと真梨の手が伸びてきて俺の頭に触れた。

「よしよし」
「……」
「あかん、京極。謙也には過剰供給やったわ」
「え、ダメ?まだもうちょっと触らせて」
「ごめんな、謙也。せめても動画は回しとくで」


***


正直そっからの記憶はあらへん。白石が言うにはもぬけのからになった俺を連れて教室に戻ったらしいわ。
白石が撮ってた動画を見て記憶が蘇る。心臓がバクバクしてうるさいっちゅーねん!

「俺、ほんまに撫でられたんか」
「固まっておもろかったなぁ」
「もう髪洗わへん」
「きったな」
「その写真も待ち受けにするわ」
「ちょっときもいで謙也」



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