バネはいつも帰りに駅まで送ってくれる。
最初の頃はいいよ、と遠慮したのだが俺も帰り道だからよ!と押し切られてしまってなんだかんだ一緒に帰るのが普通となってしまった。
「さみ」
「マフラーしないから」
「そういう忍足は……なんかつけてんな」
「これネックウォーマー、便利だよ解けないし」
「ネックウォーマー便利だな、買うか」
はぁ、と吐いた息が白い。あっという間に冬になってしまった。
冬は起きるのが辛くなるから嫌いだ、私は特に朝が早いから辛い。
「あ、バネ」
「ん」
「コンビニ寄って良い?肉まん食べたい」
「おお、……あ、うまそうだなあれ」
「ちょっと待って惑わせないで」
コンビ二の入店音が響く、中華まんのところに行けば安定の肉まん、あんまん、の並びにカレーまん、ピザまん、……チョコレートまんなど色々あった。ぐう、目移りする。
「何で悩んでるんだ?」
「安定の肉まんと少しチョコレートまんが気になる」
「よっしゃ、じゃあ2つ買って半分しようぜ」
「え、いいの」
「俺も食いてえから」
そう言うや否やバネは店員さんに肉まんとチョコレートまんを頼んでいた。
財布が間に合わない!とガサガサしていたら「カッコつけさせてくれって!」と言われたので咄嗟に出てきた50円だけ押し付けておいた。
「はい、手ふきふきしましょうね」
「園児か俺は」
除菌のウエットティッシュでお互いに手を拭く。今の時期は風邪もひきやすいから用心するに越したことはない。
「うう、バネが奢ってくれたこの中華まんは私の体の一部となるのだ」
「言い方なんか怖えぞ」
「バネどっちから食べたい?」
「忍足に任せるわ」
「じゃあ肉まん」
袋の上からぐにゅう、と半分こしようと思ったがなかなかどうして上手くいかない。
「手でいい?ちゃんと拭いたよ」
「いいぜ、さっきお互いに拭いたしな」
はい、と手で半分にした肉まんを渡す。バネには特別サービスで敷紙付きだ。
「あちっ」
「あふい!でも美味い、身に染みるー」
「練習の後腹減るしなー、久々に肉まん食ったかも」
「私もたまーに食べるくらい、今日は贅沢ね貴方」
「そうだな、っておい何させんだ」
「ワハハ」
次はチョコレートまん、半分に割ると途端に香るチョコレートにはー、と声が漏れ出た。
「うお、すげえチョコレートの味する」
「チョコレートなもんで」
「しょっぱいやつの後はやっぱ甘いものだな」
「この味のバランスいいよねー」
食べ終えて同時にはぁ、と息を吐く。あまりにもタイミングが同じだったもので笑いが漏れた。
「これで安心して電車で寝ながら帰れる」
「いつも寝てんのか、気を付けろよ」
「大丈夫、バネが奢ってくれた中華まんパワーでやれる」
「その不穏なシャドーボクシングやめろよ」
シュッ、と拳を作って動きを見せる。
笑いながら「ほら行くぞ」と歩き始めたバネに追いつく様に小走りをした。