「あ!真梨さん!」
「来たな、ガキ」
「口悪いよ!」
「だってガキじゃーん」

出先でタバコを吸っていると見知った声。
げ、と言う顔を隠さずにいるとアハハ……と苦笑される。
このガキは江戸川コナン、でも多分子供じゃない。
小人症とかではなくガキなのだが、中身が違う。
……とまぁ、本人は隠しがってるので詮索はしない。……工藤新一と瓜二つなのだけどね。

「ねえ、真梨さん。ポアロ行こ!」
「嫌だ」
「えー!なんで!面白い話聞けるかもしれないよ!」
「面白い話は聞けなくていいの!今一服してんだから」
「えー!いこうよいこうよ!!!僕行きたーい!!!!」

こいつ、正攻法では無理だと分かったからか駄々こねガキの振りをし始めた。
ここには人の目もある、クソデカため息を吐いてコナンに向き合った。

「お前さぁ……」
「えへへ」
「わーった、行くよ」
「やったぁ!」
「……で?何?」
「今風見さんもポアロに居るみたいなんだ、事件かなって」
「………………首突っ込みすぎると死ぬよ」
「守ってくれるでしょ?」
「降谷と風見に言いな」

何を思ってか手を繋いできたコナンにため息が漏れる。まぁこれなら親戚とかでワンチャン通るか……警察官が職質されたらめんどくさいが極まる。

「こっちこっちー!」
「なんで急にガキに……」

「いらっしゃいませ」
「あ!安室さん!こんにちは!」
「こんにちはコナンくん。……おや、お久しぶりですね」

おい。お前、なんで居る。という圧しか感じない。
安室から視線を外して店内を見ると確かに風見さんも居る。

「あはは、コナンくんに捕まっちゃいまして……」
「どうせ真梨おねーちゃんはご飯あんまり食べてないと思ったから!」
「……そうなんですか?」
「いやーはは……立て込んでまして……」
「食は体の基本ですよ、何か食べて行ってくださいね」

どの立場で貴様は言うてるんだ!!!と大声で言いかけた。が他にもお客さんがいるので耐えた、大人なので。

「……すみません、ちょうどお昼時なので相席でも?」
「あー……」
「あ!じゃあ風見さんと同じところにする!いいよね?風見さん」
「えっ、ああ……」
「ちょっと!……あぁ、すみません。風見さん、でしたか」
「いえ、お気になさらず」

4人掛けのテーブル席。奥に風見さん、向かいに私。
風見さんの横にコナンくん、何故。

「真梨さんはハムサンドね!」
「決められている……」
「僕は……カフェオレ!」
「珍し、そういう気分?」
「そういう気分!」

追加で紅茶を頼んでグ、と背もたれに寄りかかる。
ご飯を待っているとどうやらピークはとうに過ぎていたようで、1人2人と客が減っていく。

「梓さん、この人数なら捌けますので買い出しをお願いしてもいいですか?」
「大丈夫ですか?」
「もし無理そうなら呼びますので」
「分かりました!」

スタッフも安室だけ、客も私たちだけになったことを確認しながらハムサンドを食べているとバチ、と安室と目が合った。

「食べたら帰っていい?」
「ダメだ。コナンくんに連れてこられた以上お前も仕事をしてもらう」
「えーん、コナンくん〜!聞いた?今の発言」
「ほんっと……安室さんって、すげーな……」
「風見さんもどうせ呼びつけられてたんでしょ、お疲れ様」
「……いえ、慣れてますので……」
「可哀想………………」

ちゃっかり店をクローズに変えたのを確認して口を開く。
ハムサンドを完食して紅茶を飲んでいると隣にギ、と腰掛けてくる安室。あー、嫌。仕事から逃れて外に来たのに。

「最近警察官ばかりを狙った犯罪が増えていてな」
「そんなの捜査一課に任せとけって」
「オイオイ……」
「その中には公安も多く含まれてる、お前もターゲットになりうるんだぞ」
「公安じゃねーし」
「でも真梨さんはほぼ公安だよね」
「そこでだ。隠れ公安の一覧を出して風見に送ってくれ。全国の隠れ公安をだ」
「お前ふざけてんのか……隠れって付いてるからデータベースには乗ってないんだぞ……」
「……あ、安室さん。京極さんには今別件の仕事を振っています」
「今外に出ているということは少しは手が空いたんだろう、やれるな」

あまりの暴君に目頭を押えた。向かいの風見さんは目を逸らしてお気の毒に……といった顔をしていたが。

「えーん、コナンくん〜。安室さんに寝かせて貰えないよ〜」
「やだなぁ、誤解ですよ誤解。次その言い方したら全部回すからな」
「吐きそう」
「ハムサンドがもったいないですよ」
「そこなの?安室さん」

グーを作って隣の安室の肩をどつく。
じと、とした顔が向けられたがベロベロバーとしておけば青筋が立つのが見えた。怖!

「じゃあ、風見さんも庁内にいた方がいいんじゃない?」
「それはそうだねコナンくん。でもね、こいつだよ?今もこうして風見さんが駆り出されてるでしょ」
「こんな事で怯んでいては公安は務まらない」

あぁ、風見さん。顔色が悪なってきてるよ。
紅茶を飲みながらスマホを操作する、安室とコナンくんは事件のことを話していて風見さんは口を出さぬよう聞き耳は立てているようだ。

(……これか)

警察官襲撃事件、大きな見出しとしては1週間前。関東近郊がメインなようだが近隣地域にも似たような襲撃事件があり関連を探っているようだ。
捜査一課も関わってんだろうな〜と思いつつ、知人へと連絡する。

「京極です、今平気?」
『こちら松田。今から出るところだ、なんの用だよ』
「警察官襲撃事件、そっちで掴めてること教えてくんない?」
『あほか、守秘義務だ。…………夜9時半頃に捜査一課に顔覗かせたら、なんか見れるかもな』
「……ハハ!そっか、ありがとう。頑張ってな」

周りがガヤガヤしていた所から察するに、これから出動だったのだろう。悪いタイミングに連絡してしまった。

「真梨さん、今のって」
「誰だと思う?」
「……真梨さんが連絡出来て、今回の事件に関わってそうなのは捜査一課……。でも佐藤さんや高木さんとはそんなに親しくなさそうだったし……」
「まぁ、コナンくん会ったことないしね」
「わかんないよ!それ!」

捜査一課で連絡が取れそうな知り合いは1人だけ。
松田、ということを知っている安室は素知らぬ顔で自分が入れたコーヒーを飲んでいた。

しばらくして梓さんが帰ってくる、となったので解散に。
私と風見さんはこのまま仕事に、コナンくんはそろそろ蘭ちゃんが帰ってくる、との事で家に戻るらしい。

「またね!真梨さん、風見さん!」
「ハイハイまたね、首突っ込みすぎないこと」
「うーん……えへへ」
「このガキ……」

風見さんも私も車で来ているのでここでお別れだ、アイコンタクトで頑張りましょう。と伝える。

あー、もう、有意義な休憩時間にするつもりだったのに。と車内で悪態をつく。
こんなことなら涼香ちゃんのところに顔出せば良かった、トホホ。



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