※現パロ
ずっと探している人がいた、俺が生涯好きな人。
高校に入学した時目を疑ったし、案内されているのも無視して走った。
「ッ、真梨さん!」
真梨さん、俺がずっと探していた人。ずっと、好きな人。
でも真梨さんは俺の事なんか憶えてないみたいで、困った顔をしながら「新入生?」と胸元のブローチを見て言った。
「守一郎!なんで急に走っ……て……」
「お友達?えーと、なんで私の事知ってるのかわかんないけど、新入生なら行かなくていいの?」
「…………真梨先輩?」
「え、何?私有名なの?」
何〜?と言いながら頭を搔く、その姿は真梨さんなのに俺のことも、三木ヱ門の事も憶えてない。
「守一郎、一回戻ろう」
「……ッ、俺!浜守一郎って言います!真梨さんのことが好きです!諦めません!」
「おい!」
「エッ?」
三木ヱ門に襟元を引っ張られその場を後にする。
ぽかんとした真梨さん、あんまり記憶に無い表情だったな、と考えた。
「お前、真梨先輩記憶無いだろ、あれ」
「でも真梨さんだ、あれは」
「そりゃあ……そうだろうな……でも思い出せないんじゃ……」
「思い出させてみせる、浜守一郎!諦めないからな!」
「だー!うるさい!」
しかし真梨さんは上級生というのが分かるがどのクラスなのかも分からない。
「よし、二年のクラス総当りだ!」
「なんでだよ!猪突猛進すぎる!少しは考えろ守一郎!」
***
入学して数日、委員会活動が始まった。
目に止まったのは用具委員会、まさかと思って顔を覗かせれば。
「食満先輩!」
「……お前、守一郎か!」
食満留三郎先輩、俺が慕う先輩の一人だった。
嬉しそうな顔をしてこちらに来る食満先輩は記憶があるようで思わず涙が滲んだ。
「守一郎、お前京極に会っただろ」
「えっ!!!!!!!はい!!!!!」
「あいつ、同じクラスなんだよ。まぁ微塵も覚えてねーけどな。……しんどいだろ」
「……正直。でも、俺諦めませんから!思い出さないならそれでいいです!でも!俺は振り向かせますから!」
「熱いな、相変わらず!……俺は二年は組。めげんなよ、俺は応援してる」
「は、はい!!!」
「食満〜って、………………浜くんだっけ」
「わッ!!!!!!!!!!!」
「はは、声でか」
ひょい、と顔を覗かせに来たのは話題の真梨さん。
俺は思わずひっくり返りそうになったが、食満先輩に腕を握られて無事だった。
「用具の資料、こっちに流れてた」
「すまん、ありがとう」
「浜くんは用具に入るんだ?」
「は、はい!あの、真梨さんは……?」
「私?生物委員だよ」
「生物か……!」
「行くなよ守一郎、お前は用具委員なんだ」
「ぐ、ぐッ!!!」
「おもろ、じゃ。またね浜くん」
「……真梨さん!あの!」
「なに、どしたの?」
「守一郎って、呼んでください……」
声が、小さかったと思う。
ずっと真梨さんからは「守一郎」と呼ばれていたから「浜くん」と呼ばれるのが、嫌だった。
困ったように真梨さんは笑い
「守一郎……でいいのかな」
「ッ、はい!!!」
「なんかわかんないけどさ、今度話そうか。私わかんないこと分かるんでしょ?」
「……は、はい……」
「京極、無理すんな」
「無理はしてないよ、食満も善法寺もそのなんか思った顔で見てくんのやめてくんない?キモイから」
「お、お前なぁ……!!!!」
「んじゃね」
真梨さんと繋がりが出来た、出来た……!
わーい!!!と勢いのまま食満先輩に抱きつけば「守一郎!やめろ!」と咎められてしまった、しおしお。
「三木ヱ門!」
「なんだよ守一郎」
「真梨さんは二年は組で食満先輩と同じクラスらしい」
「お前……」
「そして守一郎呼びにするのに成功した!負けるな守一郎!頑張れ守一郎!!!!」
「ここで叫ぶのやめてくれ!!!」
***
「守一郎くん、ってどんな子なの?」
「……気になんのか?」
「気になるっていうか、入学式の時に好きです!って言われて変な子だなぁって」
「ブハッ」
「善法寺、汚い」
「ご、ごめん、京極……」
伊作の気持ちも、分かる。まさか守一郎が入学式当日に凸して告白までしているとは思ってなかったからな。
ふむ、どうしたものか。と伊作と目を合わせる。
目の前の京極は、俺らが忍者だった頃の記憶は無い。が、俺も伊作も守一郎も記憶はある。それこそ先生だってそうだ。
「守一郎は、熱い男だ」
「はぁ」
「これ!と決めたらやり遂げる男だ、諦めない」
「お、おう……」
「悪い子ではないよ、少し声が大きめだけどね」
「中在家と足して2で割った方がいいんじゃない?」
「それ声だけだろ!」
「ふーん、そう。じゃ」と自分が聞きたいことだけ聞いて去る京極を見ながら口を開く。
「どう転ぶと思う、伊作」
「うーん……良い方に、転んで欲しいけど。前からさ、京極は守一郎を離れさす傾向にあったじゃないか」
「そうだな……もし思い出しても、固執している。ととられそうだ」
「そうなったら難しいよね……本人たちの問題になるし……」
あはは、と苦笑する伊作を横目にため息を吐きながらシャーペンを回す。とりあえず昼飯の時でも話すか。