食満留三郎、善法寺伊作、潮江文次郎、立花仙蔵、中在家長次、七松小平太。
同じクラスの人も居るが何故か最初から話しかけてきた人達だ。
萌香ちゃんと共に「知り合い?」「いや?」としたのは記憶に新しい。

「いけいけどんどーん!」
「おい!小平太!廊下は走るな!」

いけいけどんどん、高校生が言うには幼い言葉だろう。しかしすんなり耳に入ってくる上に『またやってる』という感想を得るのは何故だろう。

「おはよう」
「おはよう、真梨ちゃん」
「……なんか萌香ちゃん体調悪い?」
「あー、ちょっとね。アレ」
「なるほど、カイロいる?」
「なんであるの」
「カバンに入ってた」

カイロなんて使わない時期なのにね、と言葉をこぼす。差し出したカイロを「ありがと」と受け取る萌香ちゃんを見ていると後ろから善法寺が歩いてきた。

「体調、悪いのかい?」
「萌香ちゃんがね」
「大丈夫、お腹痛いだけだから」
「そっか、無理はしない方がいいからね」
「なんか善法寺、保健の先生みたいだね」
「……うん、皆怪我して欲しくないからね」

?と頭にうかべる。けど言葉に出来なかったのは思い詰めたような善法寺の表情でなんか身内にあったのかな、と感じた。

「腹減った」
「まだ朝だって」
「自販機見てくる」

朝ごはんはとうに消化済み。炭酸系だったら腹に溜まるかな〜と近場の自販機を見つめた。

「もそ」
「……中在家、だよね」
「……もそ」

ピッ、とキリンレモンを押した時に隣にぬぼと現れたのは中在家。正直なんで私に話しかけてくるのか分からなかった。

「え?これ?お腹すいてさ、朝飯は食べたよ」
「……燃費が悪い」
「自負してます。炭酸なら少しは腹に溜まるかなって」
「……それなら、これでも食べろ」
「わぁパウンドケーキって何故」
「……炭酸よりは良い」
「良いの。良いなら貰っちゃうけど」
「……もそ」
「わーい。今食べていい?…………美味!これもしかして手作り?」
「……少しは、警戒とかしないのか」
「え?なんか入れてた?」
「そんなことしない!」
「ドワッ、おっきな声出るんだ。ごめんごめん、なんか中在家なら大丈夫なんじゃないかなーって思ってさ」

ご馳走様でした。と最後の一口を入れて手を合わせる。と同時に予鈴の鐘が鳴った。

「なんか今度奢るよ!何が好き?」
「……ボーロ」
「ボーロ、渋ない?まぁいいや、ボーロね!」

手を軽く上げて中在家にお礼を言う。
ボーロ、私たまごボーロしか知らないんだけどそれで合ってるのかな。

「遅かったね」
「餌付けされた」
「えっ?」
「自販機の前で中在家に合ってさ、パウンドケーキ貰っちゃった。めちゃくちゃ美味かった」
「でもそれは買ったんだ」
「買った後に貰った、飲む?強炭酸」
「まだ空いてないじゃない」


***


「留三郎、居るか」
「どうした仙蔵」

昼休み、立花がやってきた。廊下側に近い席の私は何となく声の発信元を見たらバチ、と目が合った。

「……」
「…………」
「………………」

その間何秒だったか、立花が食満のところに行くまでずっと目が合っていた。逸らしたら負けか?と思って見つめていたのも良くなかっただろう。

「そんなに仙蔵にガン付けないでよ」
「付けてない、なんか目が合ったから逸らしたら負けるなと思って」
「京極ってなんでそう喧嘩腰……っと、ごめん」
「え?なに?っていうか私そんな喧嘩腰じゃないんだけど???」
「ほ、ほら!喧嘩腰!」
「気が早いと言って」
「それじゃ駄目じゃないか!」

一連の動きを見ていた善法寺が私に苦言を呈してくる。なんだなんだ、私は喧嘩腰じゃないだろ。
目を逸らしたら負けな気がするだけだろ!

「真梨ちゃん、そこ危ないよ」
「えっ、うわ!」

立ち上がり、足元を見ずに歩こうとしたら萌香ちゃんからの指摘。
微妙に間に合わず、転ぶか?と思ったが体を返し、机にダン!と手をついた。

「あぶな〜、なに?これ」
「伊作!物がころがっているぞ!」
「わー!ごめん、留三郎……!京極も大丈夫だった?!」
「大丈夫、不運かもね私」
「……不運なのは、僕だよ」
「なにそれ」

なんだか思い詰めたような顔をしていて気まずくなった。
萌香ちゃんを見遣れば同じようで居心地がなんだか悪い。

「萌香ちゃん、食堂行かない?私行ったことないんだよね」
「え、ホント?行こうよ、でも今混んでるかな」
「まぁお昼だし仕方ないね」

なんてことを言いながら席を立つ。萌香ちゃんもここを少し離れたかったようですぐさま動いてくれた。

「食堂に行くのか、俺達もついて行っていいか?」

なんでだよ食満留三郎!どう考えてもこの空気がきついから離れようとしてんだろうがよ!

「私達も食堂に行くしな、ついでだ」
「小平太と長次と文次郎も合流するけどね」
「大所帯すぎる!いいっていいって」
「ほら、いつも6人でしょ?邪魔しちゃうよ」

ナイス萌香ちゃん。大所帯で空いてるよ〜なんていう席があるかい!とツッコミを入れたくなったが抑えた。そこまで仲良くない。

「うーん、そうか?」
「空ければいいだろう」
「野蛮!はいダメ!いこ萌香ちゃん」
「うん」

あ〜と情けない善法寺の声が後ろから聞こえたが無視。

「食堂のおばちゃんのご飯美味しいんだって」
「ちゃんと食堂なんだ」
「うん、でも残すのはダメだって」
「あー、フードロス」



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