※書きたいところだけ書いたまとめ

全てにおいて優秀なのが忍頭、雑渡昆奈門である。
それは周知の事実であり、絶対だ。それに比べてしまうと全ての忍者は格下になり得てしまう。

ところで京極真梨という忍者は女である。
がしかし、動きはくノ一ではなく忍者そのもの。しかしそこで隔たるは男女の性差。筋力では劣ってしまうのだ。
そこで考えた。速さを武器にすればいいのでは、と。

「だから真梨さんはあんなに素早いんですねえ」
「どうしても男性の筋力はつかないからねえ」

胡座をかいた足の上に伏木蔵くんを乗せながら薬草を仕分ける。なぜだか今は忍術学園の保健委員の仕事している。

「ですが、あのタソガレドキ忍軍のなかでそのポジションに収まるのは、途方もない苦労があったかとお見受けしますが……」
「あったあった。同期にしたって私は女だから舐めてかかられることしかなかったわけ。だからぶっ飛ばす力を手に入れた」
「忍軍のなかでは分かりませんが、少なくとも6年の僕達よりは力もありますよね」
「筋肉、見る?」
「わ〜。見たいです〜」

むん、と力を入れれば硬くなる腕。それに捕まりながらぶら下がる伏木蔵くんは「スリル〜」と言いながら喜んでいた。

「伊作くんはさ、将来何にでもなれるけど何がやりたいの?」
「……僕、ですか……。どこどこに務めたい、というよりは……沢山の人を救えたらいいなと思っています」
「そっか」
「保健委員ですから!」
「そうだね、保健委員長だもんね」

夢だ。しかし伊作くんは本気で言っている。
忍術学園を出てしまったらもう大人として生きていくこの世、伊作くんのような純はこの世ではすぐ飲まれていってしまうだろう。

「タソガレドキは忍医が足りなくてね、いつでも歓迎するよ」
「それって勧誘ですか〜?」
「伏木蔵くんも来るかい」
「真梨さんやこなもんさんも居ますしね〜!すっごいスリル〜!」


​───────


「すみません、急いでいまして……」
「少しくらいいいじゃねえか!」

そんなやり取りが耳に入る。
団子を食べながらそちらに目をやるとどうやら酔っぱらいが女の人に絡んでいるようだ。
パキ、と団子の串を割る。二本にした所で酔っぱらいへと投げつける。

「女の人困ってるんじゃない、おじさん」
「ッ、なんだと……!」
「大きな騒ぎになる前に帰った帰った」

おでこと手に命中。そのまま立ち上がりおじさんをグイグイ押しやれば文句を言いながらも帰って行った。

「大丈夫ですか」
「え、あぁ。はい……!ありがとうございました!」
「いいえ、余計なお世話かと思いました」
「そんなことは……!」
「…………ん?」

見覚えがある、この顔。
じ……と見つめていたら逸らされる。

「ふむ、一緒にお茶どうですか?」
「ありがたいのですが、道を急いでいて……!」
「おやそうでしたか……ところで半ちゃんだよね?」

土井半助のはず、と声色を変えて伺えばはぁ〜。と深いため息を吐かれた。女装してるのであれば隠しなさいよ。

「やっぱり半ちゃんだ、久しぶり」
「もう……よくわかったね」
「んー、なんとなく。もし帰るのであれば送るよ」
「……じゃあお言葉に甘えようかな」

はたから見たら身長的には姉を慕う弟、といったところだろうか。当たり障りのない話をしながら歩いていけば周りの気配が無くなる。

「いやー、いいもん見れましたわ」
「不覚だ……ッ!なぜ君にバレるんだ……!」
「いいじゃないですか、似合ってますよ」
「ところでなんで君は男装を?」
「え、私服ですけど」
「……」

頭に手を当ててため息。まぁここはタソガレドキ領内では無いからな、警戒するのも無理は無い。

「完全な非番なんでね」
「そうは言ってもだなぁ……」
「学園見えたら帰りますよ、半ちゃん」
「……半子だ!」
「半子ちゃん」

帰り道を尊に見られ「逢い引きしてましたね!」と大声で言われたのはまた別日の話。


​───────


「ぎゃーーー!助けて〜!!!!!」
「死んじゃう〜!!!」

ドカドカと音を立てながら走り去る子供、と追いかける山賊。
なにをしてるんだ、と思いながら追いかけた。

「待ちやがれこのガキ!」

手が伸びる、触れる寸前でその腕をへし折った。

「っでえええ!!!」

子供二人に対して三人大人が追いかけるとは何事か。
一人の腕を折れば突然現れた忍に困惑隠せない様子の二人。
一歩近づけば折られた人を引きずり、逃げ去っていった。なんだあいつら。

「こんなところでなにしてるの、乱太郎としんベヱ」
「ま、真梨さ〜ん!!!!」
「うわ〜ん!!!!!」

ひし、と2人に抱きつかれて忍服がベチャベチャである。鼻水と涙で。

「ここ領境だから危ないよ」
「迷ってたら……こんなところまで来ちゃってて……」
「死んじゃうかと思いましたー!!!!」
「大丈夫大丈夫、じゃあ忍術学園まで帰ろうか。私も忍務帰りだし」
「ありがとうございます!!!」

しんベヱの鼻水を拭う。びよんと伸びる様をみてこれは本当に鼻水なのか?と疑った。
今日あったこと、学校で起きたことを二人して楽しく喋ってくれてはいたが、一応曲者なのよ。私。と思いながら相槌をうった。

「もう疲れちゃった……」
「後どのくらいですか?」
「うーん、あと二刻ほど歩けば……?」
「お腹も空いた……」
「しゃーないな」

よいしょ、としんベヱと乱太郎を小脇に抱える。
しんベヱ重!!と思いながら尊よりは軽いか、としっかり抱えた。

「あのぉ、まさかこのまま走るなんて……」
「ん?するよ、その方が早いからね。あんま口開けないでね」
「え、そん……うわぁぁぁああ!!!!」


***


「土井先生、山田先生」
「うっわ!!!!京極真梨さん!!!」
「…………普通に来てくれませんかね」

廊下を歩いていた二人を見かけ屋根から飛び降りる。
気配を完全には消してはいなかったので気づいてはいたようだ。

「拾い物をしたので届けに」
「乱太郎!しんベヱ!」
「二人をどこで?」
「ドクタケの領境あたりで。では私も忍務帰りなので」

すっかり目を回して意識を落としてしまった乱太郎としんベヱを二人に押し付け私はすぐさま忍術学園を後にした。
後ろから「サインくださ〜〜い!」と声が聞こえたが、無視だ。

「……なんかシミまみれだけど、どうしたの」
「こっちは乱太郎の涙と鼻水。こっちはしんベヱの涙と鼻水」
「……洗濯してきなさい」

忍務報告に組頭の所に顔を出せば視線が服に落ちる。それは隣の山本さんも同じで説明すればはぁ、とため息と山本さんからの言葉が返ってきた。


​───────


ぱちり、目が覚めた。まだ日が完全に登る前のようで薄暗い。しかしスッキリ目が覚めたので身支度を整えるか……と庭の井戸へと向かった。
水が冷たい、うう。と苦しんでいると押都さんが廊下を歩いていた。
こちらに気がつくとピャッと飛び跳ね一瞬にしてこちらに向かった。

「お前……!その格好で外に出るなと何度も言っただろう……!」
「押都さんおはようございます」
「あぁ、おはよう。ではなく……!」

襟元をギュン!整えられる。どうやらかなりはだけていた様でテキパキと着直された。

「いいか、いくら慣れている面々が居るからとはいえ胸元がすぐ見えるような寝巻きでは出るなと散々言ったはずだ」
「……はい」
「お前は寝相が悪いのだから尚更だ」
「はーい」
「伸ばすな!」
「はい」
「これでは嫁に出せんではないか……」
「行かないんで大丈夫でーす。ずっと忍者しまーす」
「全く……どこで育て方を間違えたのか……」

ブツブツと言いながら腕を組む押都さんにビッと手に残った水を弾き飛ばせば桶を掴み、こちらに水を浴びせようとしてくるではないか。

「うぉあああ!」
「早く着替えてこい!!!」
「はい!!!」

間一髪で回避し逃げるように自室へと滑り込む。危ねぇ〜!



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