ひとつ星にかえすたび
あの日は夢のように楽しかった。
アーチャーさんと出かけられて、人の良さに触れられ、一緒におやつも食べられた。色々とお話をして、それから家まで送ってもらえた。
士郎くんへのプレセントを自室に置き、この前、士郎くんと二人で話をした時に士郎くんが好きなものを作って待っていると言ってくれたから、士郎くんの家に行くことにした。私が行きたかったからである。
士郎くんの家でも楽しかった。士郎くんは
本当に私が好きなものを作っていてくれて、桜ちゃんも手伝ってくれたみたいだった。セイバーさんに今日の話を聞いてもらいながら、二人の作るご飯を待って……。大河ちゃんはこれなかったけど、四人で美味しいご飯を食べられて、嬉しくてずっと私はにこにこしていた。やっぱり美味しいご飯はいい。癒しの効果がある。
もぐもぐ味を堪能して、プレセントを渡すの、楽しみだな〜と心を弾ませていた。
でも、クリスマスってみんな当然予定あるよね……。
学校で授業を受けながら、ふとそんな当たり前のことが頭をよぎった。
そうだよ、クリスマスってイベントだから、みんなは私以外と過ごすかもしれない。
ヤバい。もう桜ちゃん、大河ちゃん、士郎くん、セイバーさんにプレゼントを買ってしまった。
うーん、さりげなく予定をきかなければ……。授業が終わったら、すぐに。
授業が終わってすぐ、同じクラスの桜ちゃんにクリスマスの予定を尋ねてみたが、どうやらないみたいだ。あるとすれば、衛宮邸、すなわち士郎くんの家でケーキでも食べたいね、って可愛いことを言っていた。それに強い同意を返し、食べたいケーキを一緒に考え合った。
ひとまず、家主の士郎くんに予定をきいてみよう。学校では、ちょっとききにくいから、家に行った時に質問してみよう。
全てが終わり、弓道部へ行く桜ちゃんを見送ってから、私は帰路につく。
防寒着を着ても寒さを感じてしまう季節になってきた。逃げるように足早に自分の家に向かう。一旦、自分の家に帰り、やるべきことを全部終わらせてから、士郎くんの家にお邪魔させてもらおう。
自分の家についた。自宅の鍵を取り出し、鍵を差し込む。「ただいまー」と言いなから周りを確認して、さっと家の中に入った。
しーんと静かな家に、お母さんは外に行ったのかと察する。リビングへとその足で向かう。リビングは少しだけ温かさが残っており、少し前までここにいたのかもしれない。テーブルの上を見ると、ちょっと出かけてきますというメモがあった。どこに? 行き先がないってことは近所に行っただけかも。納得をして用事を済ませるために自室へと上がった。
「士郎くん!」
「ん、名前か」
立派にやるべきことを終わらせて、私は戸締まりをしっかりして自宅からぴょんと飛び出した。士郎くんの家に向かうためである。
うきうきで飛び出した所で士郎くんに出くわした。嬉しかったので私はすぐさま士郎くんに駆け寄る。士郎くんは私に気が付き、私の方へと体を向けた。
「お買い物に行くの?」
「ああ、ちょっと足りないものがあってた。名前も行くか?」
「行く!」
士郎くんと買い物に行くことになった。
どうやら買い忘れたものがあったらしい。士郎さんにしては迂闊である。私は士郎くんの誘いに頷きながら、クリスマスについて尋ねてみようかと考えた。一瞬、間があき、私は今だと口を聞く。
「士郎くん家って、クリスマスやる?」
「クリスマス?あー、藤ねえがやろうよーって言っていたな……。その話をきいたのか?」
「え、きいていない。大河ちゃんと最近話していないかも、そういえば」
「そういえば、ってな……」
「いつも一緒にいてくれる気がしててさ...あはは。でも! 大河ちゃんもやりたいって思ってくれているんだ、気があうなぁ」
「ノリ気だな。じゃあ、やるか、クリスマス」
「えっ、いいの? 私、何かお菓子持ってくる!」
士郎くんの言葉に私は笑う。多分、とっても嬉しそうに笑っている。
大河ちゃんと気があっていたのも、士郎くんの家でクリスマスが出来るのも、そのどれもが私にとって喜ばしいことだった。
しかし、話が進んでくるにつれて、あの高嶺の花である遠坂凛さんを呼ぼうとなり、私はひやひやしていった。
プレセント……。クリスマスでは渡せないかもしれない。あの遠坂先輩と会って話せる機会がやってきて、やった! と心が弾む自分もいるし、やっぱり、人生ってそう上手くいかないんだな……、と落ち込む自分もいる。
あまりよく知らない相手の遠坂先輩が喜ぶプレゼントなんて買えない。そして、一人だけプレゼントを渡さないのもなんだか感じが悪い。
ここは……、クリスマス前に、各自に買ったプレゼントを渡すしかない。
私は新たな意気込みをして、士郎くんの後をついていくのだった。