二千年と九百億年



日本の地獄。
そこは、七日ごとに七回の審判を受け、悪行を犯した者が落ちる場所。
八つの層に分かれた地獄が罪人を待つ。
等活地獄。
黒縄地獄。
衆合地獄。
叫喚地獄。
大叫喚地獄。
灼熱地獄。
大焦熱地獄。
無間地獄 / 阿鼻地獄。
罪の重さに引っ張られるように、罪人は下へ下へ落とされていく。

地獄と現世の時間は、違う流れをしていると言われている。
一番上の等活地獄を例に出そう。
現世で1年経つ頃には、等活地獄では1兆6653億1250万年(wiki調べ)が経っている。
途方もない時間だ。
しかし、等活地獄はマシな方で、最下層の無間地獄 / 阿鼻地獄など、もっと恐ろしいほど、途轍もない年数が流れる。
……果たして、本当にそうだろうか?
私たちは実際に地獄へ落ちたことがない。
地獄へ落ちたものが、誰一人として現世に戻ってきていないのだから、これが本当のことかは誰も分からないはずだ。
地獄と現世が、同じ時間の流れをしているかもしれない。
もしかすると、書物に残されたものは全て妄想で、本当は大変過ごしやすい所かもしれない。
とある漫画家は、地獄を何も存在しない荒野として描いたという。
これを読んでいる読者が想像する地獄は、一体どんな所だろう?

かつてこの世は地獄や黄泉に近しく、その名残は至る所に存在する。
熊野は死者の国とされていた。
甲斐国は黄泉への境界とされていた。
出雲には黄泉比良坂がある。
賽の河原は、私たちが知らないだけで、かなりの数、存在するかもしれない。
私の住む京都にも、地獄が近しいものの名残が存在する。
黄泉がえりの井戸。
現在その井戸は使用出来ないが、外観を見ることは出来る。
他の井戸とは違う雰囲気を感じられるので、是非場所を調べて実際に見てほしい。
井戸は、黄泉がえりの井戸の名に相応しく、実際に地獄に繋がっていたと伝えられている。
井戸に関する逸話を知っているだろうか。
──昼は普通に仕事をし、夜は黄泉がえりの井戸を使って地獄へ向かい、閻魔大王が行う裁判の補佐をしていた。
当時の生者が、地獄で仕事をするために、井戸を使用していたという逸話だ。
井戸を常日頃から水を汲む以外の用途で、使用していた男がいる。
男の名は小野篁。あの小野小町の血縁者である。
彼の逸話が本当かどうか、本当のところは誰にも分からない。
分かるのは、黄泉がえりの井戸があること、小野篁の説話集があることだ。


私は、辛いのが苦手だ。
写真の唐辛子を見るだけで、口の中に唾液が溜まり、味を思い出し、顔が真っ青になる。
私は、高所恐怖症だ。
写真の高所からの絶景を見るだけで気が遠くなる。
私にとっての地獄とは、この世の住まう所が、高所ばかりになることだ。
私にとっての地獄とは、この世の食べ物が、辛い物だらけになることだ。
……というわけで、八つの高所と八つの辛いものを用意して、私だけの地獄を現世に作っていこうと思う。

目次
1.場所と食べ物の調査
2.苦戦
3.気付き
4.人に頼ることを覚える
5.皆で組み合わせを決める
6.実践
7.結果
8.感想