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君と出会うまで僕は病弱なことも受け入れていたし、同世代の人達よりも先に死んでしまうかもしれないことすら仕方がないと思っていたんだ。
代々短命の一族だしね…僕もそうだと思いながら生活していて死に近いことが慣れっこだったんだよ。
でも、君に出会って。僕と同じ瞳の色をしている君に出会って…生きたいって。

君と結婚するんだって決めたんだよ。



「なまえ」



『なに?えいくん、』
「呼んでみただけさ。今日も英語の勉強かい?勉強もいいけど、僕が持ってきたお菓子を食べてみて、ほら。」

あーん、と言いながら真っ白な肌によく映えるピンク色の形の良い唇に向けてクッキーを差し出す。

『美味しい〜』
「ふふっ、いいリアクションだね。これはなまえが好きな甘味に調節しているのだけれど、食べ過ぎたって支障がないバランスで作ってもらってるんだ。もちろんそのバランスが反映されるのはなまえの身体の中だけだよ。つまり世界で一つのなまえの為のお菓子なんだ」

榛名家はそれはもう可愛がってなまえを育てているものだからなまえの為の食事なんて当たり前に提供されている。
でも僕は食材、調味料最初からすべてなまえの為に作ったんだから。
僕が1番なんだよ、絶対に。

『えいくん、』
「なんだい?」
『あんまりお金かけちゃダメだよ〜?僕にお金使うなら募金するんだ。僕は幸せに産まれてきたけど、世界中そうじゃないって勉強したから、』
「なまえ…」
『でも、僕のためにお菓子を作ってくれてありがとう』

どんな正解ルートを辿ってもこんな天使は生まれないだろう。なんて綺麗なんだ…笑ったら世界が壊れてしまうよ。可愛い…あぁ、僕のなまえ。僕の天使…。
ぎゅっと僕よりも更に細いなまえの身体を抱きしめた。

「僕が悪かったよなまえ、すぐに貧しい国へ募金するから愚かな僕を許してくれないかい?」
『えいくん…ふふ、うん。僕も募金する〜!お小遣いね、まだ使ってないから』
「なまえは偉いね。募金の前にこのクッキーも食べてみてくれないかい?これは希少価値の高いブルーベリーが入っていて毎日頑張っている…」

顔を近付けると恥ずかしそうに目を瞑ったなまえの瞼にリップ音を鳴らして口付ける。

「なまえの綺麗な目を守るんだ」
『っ…!…えいくん〜…』

恥ずかしそうに笑うなまえにどうしようもなく心が奪われる。
少しずつゆっくり表現して教えてあげるんだ。
僕が君を愛しているということを。











「英智、なまえへのプレゼントはもう買ったのか?もし買ってないなら一緒に贈らせてもらいたいと思ってな…」
「プレゼント、?」

今日はなまえは講師を呼んで勉強をする日だ。なまえには健康に育って欲しいから勉強後の睡眠時間を計算すると僕との時間は残されていない。こういう日は生徒会室で敬人と仕事をこなしている。

「どうして敬人がなまえにプレゼントを贈るのだい?誕生日は過ぎたし、僕となまえの出会った記念日はまだ先だし…僕の知らないなまえの記念日なんて消してしまおうかな、ふふ。なんてね」
「ハァ…。榛名家ご家族全員でアメリカに移住されるだろう?その贈り物だよ。」
「えっ、?」

ピンと来ていない僕の表情を見て敬人は全てを理解した顔をした。
そして僕はその敬人を見てまた全てを理解したんだ。

「すまない。もしかすると俺は今とんでもない極秘の内容を英智に伝えてしまったかもしれない」
「敬人、君は悪くないよ。なまえは僕のものなんだから、君から漏れなくともどう足掻いたって事実を知っていただろうね。さて…」
「英智…」
「どうしようかなぁ。敬人、なんだかワクワクしてきたよ…!」
「あまり酷いことはするんじゃないぞ英智…全ては俺が悪いのだが、榛名家だって「僕はなまえ専用のクッキーを作っただけで募金をしたんだよ。僕となまえの仲を引き裂こうなんてする意地悪な人には…募金どころじゃ済まないよね?敬人、」