初めまして、爆豪くん。
雄英高校の体育祭をTVで見て以来、わたしはすっかり“爆豪勝己”という男の子のことが気になっていました。
ニュース記事に雄英高校が取り上げられていないか、その中に彼の名前がないか、チェックするのはいつの間にか日課に…
雄英高校は自宅からそんなに離れていないため、その生徒さんと道ですれ違うことはあっても、わたしのような一般人が関わりを持つことは基本的にない。
…はずだった。
「殺されてぇのか!!てめェは!!」
彼の“爆破”の個性によって周りは煙が充満していて、空気が熱くて焦げ臭かったのを覚えている。
近道だと思って入った路地裏でヴィラン(敵)の後ろ姿を見てしまったわたしは、気付かれないようにとっさにゴミ箱の影に身を潜めていた。
そんな時に、ヴィランを追いかけてきた仮免ヒーロー、爆豪勝己くんに出会った。
「あの、ヴィランが…「ア゛?あんなクソ雑魚ヴィランなんざとっくに俺が倒したわ」
どうやら、わたしが怖さのあまり目を瞑って神様に救いを求めていた数分の間に片付けてしまったらしい。
「てめェはンなとこで何しとんだ」
じりじりと近づきながら睨まれる。
本物の爆豪勝己くんだ…こんな奇跡的な出会いがあっていいのか…!なんて少しくらい感動をしたかったのに、初めてのヴィランに遭遇したわたしは、あまりの恐怖に爆豪くんとの出会いを喜べる余裕が全くなかった。
「オイ、立て」
未だにゴミ箱の影にしゃがんでいたわたしは立ち上がろうにも足に力が入らない。
「あ…腰が…ぬけちゃいました…」
もう苦笑いしかできない。
恥ずかしさと自分の情けなさに ほんとにほんとにすみませんと謝り続け、彼は溜息をつきながら うるせェとだけ言ってわたしを担ぎ、救護班の元へと送り届けてくれた。
しゃがんだせいでワンピースの裾は泥まみれ。きっと、あの時のわたしの顔は涙や鼻水やらで大変なことになっていただろうなと思う。
いつもTVで眺めていた気になる男の子との偶然の出会いに頭の中はパニック状態…
こんな感じで、情けないけれど奇跡的に爆豪くんとの初めましてが出来たのでした。