その瞬間、大きな歓声と拍手が鳴り響いた。
一番高い表彰台から見る景色はとてもキラキラしていた。
だけど、わたしはその舞台を去ることを決意した。
もう二度と見ることのない景色をしっかりと魂に焼き付け、わたしの競技人生に幕を降ろした。
それから4年後の3月。
ばたばたと騒がしい玄関へ向かうとそこにはお父さん、お母さん、ミナコちゃん。そして久しく会っていなかった、可愛い弟の姿があった。
「勇利!おかえり!」
「琉利姉ちゃん!…あ、久しぶり」
「うん、元気だったー?あ、勇利太ったね」
ずぼんの上に乗るお腹を見て苦笑した。
昔から太りやすい子だったからなぁ。
「昔から太りやすかったもんなぁ。しょんなかぁ。今夜はいっぱいかつ丼食べんね!」
「あ…その前に…」
「そうやったねぇ。ヴィッちゃんに挨拶してこんね。」
ヴィッちゃんの仏壇へ向かう勇利の背中を見送り、私ははぁとひとつため息をついた。
「やっぱり元気ないなぁ。お母さん…勇利、辞めないよね?」
「どうやろうねぇ。」
もっと勇利の魅力と自信を引き出してくれる人が現れればいいのに…と願うばかりである。
ヴィッちゃんの仏壇のある部屋の前を通りかかると中から話し声が聞こえた。
勇利と二人の姉である真利の声だった。
「…これからどうすんの?」
どきっとした。私がずっと聞きたかったことだ。
「スケート続けんなら応援するけど。」
「まだ、少し考えたいっていうか…」
「ま、温泉入ってゆっくりしてって〜」
部屋から出てきたお姉ちゃんと目が合った。
「…お姉ちゃん、よく聞けるよね。」
「ま、あんたと私じゃあ立場が違うからね。」
「そんなもん?」
「そんなもんよ。」
ぐしゃっと頭を撫でてお姉ちゃんは仕事へと戻っていった。
アイスキャッスルはせつ。
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