言論IF〜クリスマスプレゼント交換会in六神将+α〜01


※シンク視点

始まりは、シオリの口からクリスマスという記念日について伝えられたことだった。
クリスマスについて話しながら懐かしげに目を細めるシオリ。
それを見たアリエッタの発案により、内輪ながらもクリスマスパーティを開こうという話になった。
それならばプレゼント交換会もしようとシオリが言ったことにより、クリスマス会なるものをやることが決定した。

参加者はリグレット、ディスト、ラルゴ、アリエッタと僕。
そしてヴァンとアッシュとレイン。要は計画を知るメンバー達ということだ。
ラルゴとアッシュは最初渋っていたが、たまには休養も必要だろうということと、全てヴァンの驕りということで参加することにしたらしい。

そうして集まったのは、騎士団本部の奥にある、あまり人が近寄らない第六会議室。
会議室は精々使っても第四までで此処に来る人間は殆ど居ない。
なのでアリエッタとリグレットが飾り付けをして、ヴァンとシオリとラルゴが料理を作るのに腕を振るったらしい。

「皆さん、今回は殆ど私の我が侭と言って良いこの会に集まって下さり本当にありがとうございます。
私の国の聖なる夜に今日が当てはまるかはわかりませんが、皆さんの心に残る素敵な夜になってほしいと心の底から願っております。
それでは改めまして、メリークリスマス!」

「「「「「「「「メリークリスマス!」」」」」」」」

意味は解らないものの、シオリの言葉に合わせて全員グラスを掲げる。
大人組みはシャンパン、子供組みはジュースである。
カチン、と軽やかにグラスの奏でる音を聞いてから僕はジュースへと口をつけた。
なんてことはない、ただのオレンジジュースだ。
シオリが僕の隣に座り、早速各々が料理に手をつけるのを見て懐かしげに目を細めるのを見る。

「…シオリが居る国ではよくやったの?」

「そう、ですね…本来なら神聖な儀式といいますか、聖なる夜の名に相応しい日だそうですが、私の国ではただの馬鹿騒ぎのお題目でした」

「…へぇ」

「その代わり家族や友人にはよくプレゼントを用意しました。何をあげようか、どんな反応をしてくれるだろうか、喜んでくれるだろうか…胸を躍らせながら考えたものです。貰ったプレゼントに殺意を覚えたこともありましたが」

「……へ、へー…」

笑顔で殺意などという似合わない言葉を使うシオリに、それ以外の返事が思いつかなかった。
あれ?シオリってもっと穏やかな性格じゃなかったっけ?

「ところでシンクはどんなプレゼントを用意したんですか?」

「無難なのをね。何を選んで良いか解らなかったし」

そう言って答える僕に頷きながら、シオリはから揚げを頬張る。
プレゼントは既にヴァンの手によって回収されている。
他のメンバーもそれぞれプレゼントを持ち寄っていて、後でランダムに選ばれるらしい。

「そういうシオリは何を用意したのさ?」

「シンクと同じ、無難なものです。誰の手に渡るか解りませんから」

「だよね。やっぱりそうなるとあんまり奇抜なものも選べないか」

プレゼントと聞いて装飾品なども考えたがアッシュやディストなど無縁な人間も居るので却下したのを思い出す。
フライドポテトを食べながら各々好き勝手に話すメンバーをぼんやりと見た。

「レイン様、お身体は大丈夫、ですか?」

「大丈夫ですよ、アリエッタ。むしろ楽しくて身体が軽いくらいです。
それに今回は私的なパーティということですし、様付けも無しで結構ですよ」

「じゃあ…レイン?」

「はい、そう呼んで下さい」

そんな話をしているのはアリエッタとレイン。
接触があるようで全く無い二人は、これを機に交流を深めているようだ。
その隣ではラルゴとヴァンが話している。

「此処も随分明るくなったな。少し前までの陰鬱な雰囲気が嘘のようだ」

「論師が来てからだな、騎士団全体が引き締まったのを感じる。教団だけでなく騎士団にまで良い影響を与えているのは確かだ」

「うむ。俺の師団も論師の期待に応えようとするものが多い。士気が上がっているのが目に見えて解る」

「保険制度の導入も大きかったな。アレのおかげで騎士団員達に心の余裕ができた」

私的なパーティなのに仕事の話をしてどうする。
突っ込みをジュースと共に流し込みながら、最近の騎士団はあーだこーだと話している二人。
二人ともオヤジなのだから仕方無いかもしれないが、こういう時くらい普通に話せば良いのに。

そして僕らの真横、アッシュがリグレットとディストによって挟まれた場所を見る。
そこには論師の情報部に所属することになったアッシュに対し、リグレットとディストがうだうだ言っていた。

「あれほど屑だの何だの言っていた貴方が情報部とは、人も変わるものですねぇ」

「そういうお前こそそうだろうが。恩師はもう良いのか」

「えぇ…私は私のしでかしたことに責任を取らなければならない。それを教わりましたから」

「本来ならば当たり前のことだが、ディストはそんな簡単なことを気付くのに随分時間がかかったようだな?」

「物事を複雑に考えすぎなのだと言われましたよ。同時に人は変われるのだと、私は身を持って知りました」

そう言ってディストはシャンパンを煽った。
どこか遠くを見つめながら言うディストに何を思ったのかは解らないが、アッシュが視線を逸らしながらチキンのソテーにフォークを突き刺す。

「ふん、そう簡単に変われたら苦労するものか」

「ではアッシュはどんな苦労をしていると?情報部ではほぼ正座で過ごしているために殆ど役に立たないと聞いたが」

「好きで正座してるんじゃねぇぞ!」

「確か、一回切れるごとに30分正座、でしたか。まーた馬鹿なことをしてるんですか、あなたは」

「やかましい!」

「アッシュ、あんまり悩みすぎても駄目だ。はげるぞ、閣下のように!」

「誰が禿げるかあああぁぁ!!」

大真面目に失礼なことを言っているリグレットに対し、顔を真っ赤にして怒るアッシュ。
何もかも自業自得だと思うのだが、ふと視線を向ければ怒声を聞いたシオリがくすくすと笑いながらグラスを手に取っていた。

「アッシュも苦労しているようですね」

「ハリセン、もう4本目も駄目にしたらしいよ?」

「おや、では新しく作る必要がありそうですね」

「情報部で新しいの作ってるってさ。もっと強力なのを作ろうと試行錯誤してるって聞いた」

ちなみにそれを見たアッシュは怒りに震えて怒声を飛ばし、再度正座の刑を言い渡された。
それを聞いたときはホントにあの鶏は学習しないと呆れたものだが、少しずつではあるものの正座の時間も減ってはいるらしい。
特にヴァンが様子見に来て、我慢できたアッシュを褒めて以来顕著だとか。
様子見ついでに少しでも成長のそぶりが見えているようならば褒めてやれと言ってヴァンを派遣したシオリの読みが正確すぎてちょっと怖い。

それぞれ好きにわいのわいのと話している中、料理も大分減ったところでヴァンが手を叩いて注目を集める。
何でも最初に回収したプレゼントをランダムに机の下に配置するので、暫く部屋を出て行って欲しいとのこと。
言われたとおりに部屋を出た僕達は、誰のプレゼントに当たるかなんて話しながら廊下でヴァンを待っていたのだが、五分もしないうちに入室を促されて再度僕等は室内へと足を踏み入れた。


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