命ある限りなんて嘯くんじゃない



絶対に愛してるなんて言ってくれないことを知っている。それは何故か、なんて貴方を知ってるからすぐに解った。
死に急いでいるわけではないけれど、それでも貴方は自分の命を限りなく軽視していたし、何より自分に価値などないと思っていたのを知っていたから。

私が貴方に依存することを恐れていたのでしょう?
平凡な幸せを手に入れることを恐れていたのでしょう?
自分の中の激情が薄れていくのを恐れていたのでしょう?
だからこそ、コントロールできない恋だの愛だのが怖かったのでしょう?

伸ばしかけた手を知っている。開きかけた口を知っている。
私を想うからこそ、それらは途中で止まってしまったことも。

ねえシンク。貴方は私を綺麗というけれど、女はそんな綺麗な生き物じゃないってことを貴方は思い知るべきだと思う。
私に堕ちて欲しくないと、汚れて欲しくないと、綺麗な世界で笑っていて欲しいと。
そんな貴方の願いを殺してしまうことになるけれど、それを代償に貴方の隣に立てるならそんなものちっとも惜しくない。

だって、泥まみれになった私をシンクは決して見捨てないでしょう?
貴方の隣に立てるなら、愛してると言ってくれるなら、そして一緒に死ねるなら、きっとお釣りがくるくらい素敵なこと。
だからその明確な線引きを踏み越えて、共に死んでくれと私を引きずり込んで欲しい。
感情のままに私を食い荒らして、その激情に巻き込んで欲しい。
そう思えるくらい、恋に溺れた女の感情って苛烈なのよ。


【命ある限りなんて嘯くんじゃない】


それくらい愛してくれているというのなら、共に死んでくれと手を差し伸べて欲しい。


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