出逢い【晶編】
まこが死んだ。
それを認めたくなかった俺は、葬式には出ないで1人部屋にいた。
――コンコン――
誰かが部屋をノックする音がしたから俺は部屋を開けた。
そこには狸、失礼。
叔父さんがいた。
俺は涙をふき、叔父さんに訪ねた。
「どうしたの?」
「部屋に1人いるんじゃないかと思ってな」
「……」
「晶、とおるを覚えてるか?」
「?忘れてるわけないじゃない。どうして?」
「会いたくないかい?」
「兄さんに会っていいの?」
「あぁ……」
俺は叔父さんに連れられて兄さんに会いに行った。
車で約2時間ほどの場所に兄さんがいた。
叔父さんは兄さんに手をふりながら歩いて行く。
けれど、兄さんは嫌な顔した。
「とおるー久しぶりだな」
「あぁ……」
「嫌そうな顔するな、今日はほらっ」
叔父さんは俺を兄さんの前に突き出す。
「わっ」
「晶?」
「うん!兄さん、ぼくだよ」
俺は兄さんに抱きついた。
けれど、兄さんは微妙な顔してた。
「大きくなったな、晶」
そう言って抱きしめてくれた。
それが俺には凄く嬉しかった。
「とおるー誰、その子。とおるの隠し子?」
兄さんの後ろから"あの人"が声をかける。
「瑠衣……。隠し子じゃない。弟の晶だ、如月晶」
「如月?もしかして如月グループの跡取りの?」
あの人が、あまりにもキレイだったから、俺は口に出してたんだ。
「兄さんの恋人ってキレイな人だね」って。
そして、隣にいた叔父さんは吹き出してた。
兄さんと"あの人"は2人して俺に突っ込み入れてきやがった。
「こいつとは恋人じゃない!恋人なんて冗談じゃない」って。
あの人は俺に近づき抱き上げた。
「晶くんて言うの?」
「うん。ぼくは如月晶」
目を細めて俺に言う。
「晶くん。俺は火山瑠衣といって男だよ?間違えないでね?」
この時の瑠衣さんの笑顔が俺には怖かったから素直に謝ったんだ。
「ごめんなさいっ瑠衣さん」
俺が間違えた事を謝るとあの人はさらに顔を近づけてくる。
「可愛い」
そう言いながら俺にキスしてきやがったんだ。
これが俺とあの人、瑠衣さんの出会いなんだ。
おまけに俺のファーストキス奪われたんだよな……。
「晶くんー何してるの?」
「こんな写真出てきたから」
俺は瑠衣さんに写真を見せる。
「うわぁー懐かしいね。この頃は可愛げもあったし」
瑠衣さんは懐かしそうに写真を見る。
「悪かったな!」
「まぁ可愛げのない晶くんもいいけどね」
そんなこと言いながら俺の心をこの人は乱す。
瑠衣さんを好きな俺は、可愛げがないと言われるのが嫌で仕方ない。
ここまでこの人が好きな俺もどうかしてるけどな。
「まぁ瑠衣さんは昔から変態だったよな」
俺はそう意地悪を言う。
「だって、あの時の晶くんが可愛かったんだもんー」
「だもんじゃねぇー!!あんたキス魔だよな?」
言い過ぎたと思ったけど、すでに遅く、俺は瑠衣さんにキスされていた。
「俺は晶くんとキスが好きだからね」
そう言われた俺は反論すらできなくなる。
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