「では、1人ずつ名前と職業と…ここへ来た目的を言ってくれちゃってくれたまえ!」
山村警部の目の前へと連れて来られた男3人はいずれも訝しげな顔をしているが、促されるままにひとりの男が話し出した。
「俺は米住速道、フリーター。何があったか知らないっすけど、ここには来週仲間と来るキャンプの下見に来ただけっすよ」
「私の名前は宇佐木跳三。写真家でね、日本各地のキャンプ場の景色を撮って回っているんです」
「ぼ、僕も写真撮りに来たんだ、ブログに乗せるレンゲツツジを携帯のカメラで…こ、この時期にオレンジ色の花を咲かすから…な、名前は岩隈猛也、米花大学の4年だよ」
米住速道、宇佐木跳三、岩隈猛也、彼らの中に子供達を追い回した犯人がいるのだろうか。
ありすは、携帯電話を握りしめるコナンと博士に視線をやる。
「どうじゃ?」
「まだつながらねぇよ…灰原なら電話が通じる場所に移動するはずなんだけど…」
「今も犯人から逃げ回っていて、電話をかけるヒマがないのなら…あの3人の中に犯人はいないのかのぉ?」
もしくは…
「何かの理由で身動き取れないか、あるいは…もうすでにあの3人を含めた誰かの手にかかったか、ですね…」
「う、うん…」
ありすの言葉にコナンの顔が曇る。
「…え?3人とも26cm?ホントに?」
漏れ聞こえてくる山村警部の声。
現状いちばん有力な手掛かりが役に立たないことがわかって、ありすは唇を噛んだ。
「困ったのぉ、やっぱりワシらも捜しに行ったほうが…」
博士が落ち着かない様子であたりを見渡すのを、ありすが制止する。
保護者として気が気でないのは仕方のないことだろうが…
「私たちが闇雲に探しても道に迷うだけです。手掛かりのないこの状況では、山に詳しい捜索隊に組織的に捜してもらうほうが現実的かと…」
「しかしのぉ…陽が暮れてきておるし、暗くなる前に見つけんと…」
ありすはオレンジ色に染まる空と地面に伸びる自分の影を見つめる。
スラリと伸びる大きな影と、横に並ぶ小さい影——
手を繋いだ帰り道、遠い昔の記憶
『そろそろ帰るよ』
『やだー、もうちょっと遊ぶ!』
『ほら、キツネさんも言ってるよ? かえでちゃんおなかすいたよーって』
それは、ふと呼び起された思い出に、ただ意味もなく倣っただけだった。
ありすが右手を動かすと、それにあわせて影絵のきつねも喋る。
その瞬間。
「…ありすさん!」
コナン君と目が合う。
彼の両手は横たわる彼女と同じ形をしていた。
夕影に慕う
ゆらゆら揺れる