「……おまえ、ほんとふざけんなよ」
「え?」
「え?じゃねーよ、久々に身体いてーわ!」



ヒョンの身体もようやく落ち着いた頃、そのまま甘いピロートークになるかと思えば待っていたのはユンギヒョンからのお叱りだった。
ベッドの上、俺はヒョンの方を向いて横になってるというのに、対するヒョンは天井を向いたままで、疲れたのか目を瞑ったり開けたりしながらああだこうだと俺に不平不満をぶつける。



「ねぇ、言っとくけどヒョンのせいだからね」
「あぁ?」
「途中、ヒョンが早くしろって言ったんじゃん」
「……早くしろとは言ってない」
「でもそんな感じのこと言った」



言われてばかりだと俺だってちょっと落ち込む。
だからヒョンにも原因があるんだよって、そう思ってそれを伝えれば、少しだけ黙ったユンギヒョンはもぞもぞと身体を動かして布団の中でこちらを見た。



「……それは、」
「うん」
「………」
「なに?」
「………なんでもねぇ」
「え、それ絶対嘘じゃん」
「うるさい。なんでもないって言ってんだからなんでもねーんだよ。じゃあ俺は寝る」
「なんでそうなる!?寝るの?うそ、ヒョン、ちょっと…」
「おやすみ、テヒョン」
「おやすみじゃないし!教えてよ!」



結局俺の言葉は総シカトした上に本当に寝てしまったユンギヒョンから理由を聞き出すことはできなかったけど、まぁいいや、そのうち絶対教えてもらおう。と俺も布団に潜ったのだった。









すやすやと寝息を立てるテヒョンを確認して、その身体に距離を詰めた。

…こいつ、ほんとなんなんだ。

いつもいつも言葉でも態度でもとにかく俺を好きだと伝えてくるこいつ。
なんで俺のことが好きなんだろうと思うけれど、そんなことを考えてる暇もないくらい愛情を示されるから少しだけ参ってしまってる。

……だって、こんなに求められたら、そうでなくなった時はどうしたらいいんだろう。
テヒョンが俺に興味がなくなってしまった時、俺から離れてしまった時。

辛い思いはもう二度としたくない。あんな気持ちにはもうなりたくない。
だから、こいつのことは好きだけど、あまり深入りしないようにしたいと常々思っているというのに。

なのに、あんな顔で見つめられたら。真っ直ぐに気持ちを伝えられてしまったら。



「……はぁ、ダメだな、俺も」



さっきまでのテヒョンを思い出すだけでぎゅうと心が締め付けられるような気持ちになってしまうのを耐えながら、その身体に身を寄せて目を閉じた。



−END−

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