08





更に頭をさげる。

昨夜決めた事だった。
私は結局戦しか知らない。

よく分からない巡り合わせで、この国に来て命を拾って貰って、出会った大軍を収める方は以前の主人達にとても似ていた。

一度亡くなりそうになった命。
もし居させて貰えるのなら、ここで尽きても良いと思った。

女としての幸せなんてよく分からない。
戦で命尽きるのなら……
それが、素敵な方の下だと言うのなら本望だと思う。


「…貴女は私と似てる境遇がある様ですね」
「?」

「………………ンフッ。私は最初からそのつもりでしたよ」

「え?」

驚きのあまり顔を上げると、微笑み私を見る王騎様と目が合う


「騰はいますか?」
「ハッ!ここに」
「「………………」」
「……貴方、いつからそこにいたんですか?」

人の気配は確かにあったけど……
騰さんだと気づかなかった。…………すげーなこの人。


「晋の祖国の話からです」
「………………」
「…………要は最初からですね。
まぁ、それなら話は早い。

晋、まずは騰の下で動きなさい。貴女にとって得るものが多いと思いますし、それの方が自由がききます。

……あとは貴方に任せますよ、騰」


「ハッ」
「……………………」

「どうした、晋?」


驚き過ぎて、固まってしまった。
まさかすぐに返答いただけると思わなかったからだ。


「……王騎様……本当に、本当にありがとうございますッ…………」




深く深く頭を下げた。

王騎様はココココッと笑っている声が聞こえる。


私は涙が出てきたのを必死に堪えた。






「騰さん。改めて宜しくお願い致します」


王騎様の部屋を出た時、一緒に出た騰さんに改めて挨拶をする。



ボスッ……

「???」


すると頭の上に袋の様な物を置かれた。


「え、と………………?」
「その着物では、皆見る場所が困る。

それは、私からの餞別だ。歓迎するぞ、晋」


頭の上に乗っかった袋を受け取り開けると、中には綺麗な刺繍された桃色の生地が見えた。
そういえば戦闘服のままだった。今は包帯を巻いて貰っているので、背中がとても空いていたのも肩が出ていたのも隠せているが露出が多く、下もピッタリした黒だ。


「ありがとうございます…」
「?どうした」

「……これ、どうやって着るのでしょうか?」
「……………………」


難題だ。
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