09




「これは…」


包帯を変え私は騰さんからいただいた服に腕を通した。採寸がピッタリでとてもびっくり。いや。びっくりを通り越して、どんなに女慣れしてんだと思い苦笑いを浮かべる。

でも、そんな方には見えないけど……


まぁ、そんな事はどうでも良いとして
「私が着せても良いのか?」と騰さんに言われたので丁寧にお断りをして
結局服の着方が分からないまま、何とか見様見真似で着てみたがなかなかやるな私。

それにしても……


「すてきなんだけど!!」


日本には無い染め色に、柄、着方。何処か似ている。色も私に合ってる…

中華、良いところ!!!


髪型を服装に合わせて整え私は部屋を出た。


せっかく綺麗に着れたからいただいた本人に見せに行きたいと思った。


「……………ここどこよ……」



そういえば、私は此処に来て2日目でした。


すると懐かしい音が聞こえたので勝手に足がそちらに向かった。







「今日は本当ツイてるな!」
「あぁ。修練所に来てよかった」
「まさか干央様が直々に修練所に来てくれるとは……ん?」
「あ?どうし……」


「次!誰だ!!」




「はーい」

「!?」


入り口際に固まってる男達の後ろから
場にそぐわない高く柔らかい声が聞こえ、全員が驚き視線を向ける。

男達の後ろに片手を挙げた晋がいた。



「……………」



この場にいた全員が何が起きているのか理解できないまま、「ちょっと、どいてねー」と周りの反応を諸共せず履物を脱ぎ……て、私部屋の中で履物履いてる。と今更ながらに思い、中に入る。


「次、私もいいですよね?」



肩を鳴らし腕を伸ばしながら、昨日見た人の中にいた方ーー名前が分からないーーを見据え微笑んだ。


「…昨日の………
「おい、女。」

「?」


間に人が後ろの男性を守るように立ちはだかる。
齢にして……同じくらいの若い男だった


「なに?」

「誰だ。女がこんなところに何用だ」


「…………暉沾。」
「干央様は、お下がりください。

……こんな、小娘。俺一人で十分です」

「へー!

………小娘、ね」




暉沾と呼ばれたその男に、小娘と言われ晋は口元はほほえんだまま眉間に皺を寄せ


シュッ……


「!?」

一瞬の動きだった。

晋が暉沾のふいをつき首筋に手刀を入れるがそれを暉沾が腕を掴む形で止めた。
晋はそれすら予想してた様に余裕の微笑みかけた。


「…どーも。小娘の晋です。よろしくね暉沾っ」
「…………どーもっ!!」


そう暉沾が言うか言わないかが始まりの合図になり二人は組手をし始めた。











「……………」




干央は二人を止める事は考えずに、数歩ずつ後ろに下がると壁に寄りかかり二人…というより昨日来た少女の力量を見定める事にした。


今のところ五分五分……
暉沾と張りあえている。


が、どこか楽しそうに戦う少女を見てまだまだ余裕がある様にも見える。


暉沾は仮にも五千人将。
録嗚未が一目おく若年将。



その男を凌ぐ………?



「!」











「暉沾くん、強いねっ」
「あ!?てめぇは対等に戦ってんだろうが!!」


「ちょ、と余裕なくなってきた…よ」
「!?」


激しい組手が続き、周りの野次馬達は二人に魅入ってしまい各々で盛り上がっていた。
すると、晋が暉沾の攻撃を受け流し、回し蹴りをすると暉沾に届く前に干王という方に止められた。

「干央様!?」
「!?」



突然間に入ってきた事に二人は驚いていたが、一番驚いていたのは晋だった。


「やるな、娘っ!!ここまでやるとは、驚いた!!

…だがこれは無しだ」



ニカッと笑う干央さんは、晋の足先にあった暗刃を外し、足を離した。今まで騒がしかった周りの声が急にシンッと静まる中、晋の荒い息遣いだけが響いた。


「……お前……
「はぁ…はぁ…はぁ……っ。…暉沾く、ん」

「?」


「…ごめ………


バタンッ




「え?」
「ん?」



晋はその場で足から崩れ、床に倒れた。
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