02







ワーッッ!!!!!

ガキィン!!


とても聞き覚えのある音に、
真っ白だった世界から急に引き戻された。

戦場……?


やだ、私
地獄に落ちても戦うつもり?

理由もないのに…………



って、あれ
佐助に斬られた背中まぢ痛い……


それに………………

「これ、幸村様の愛刀???」


あれ???


現実????


えっ???

なんか、身体が全体が重い……

って。

「ここどこ??」


目の前に広がるのは何方かに丘を持つ平原
そして、まさに合戦中の独特な音と臭いと男達の雄叫び。

頭が混乱しすぎてる。


だって私、たしか家康の本陣がある崖から森側に落ちたと思ったけど勘違いだったか……らおっ!?

ドドドドドドドドドッ


隣にある崖上から馴染みのある音が聞こえ、まさかと半信半疑に上を見上げると騎馬した人々が雪崩降りてきていた


家康本陣の兵達は近くに騎馬を率いていなかった。私が落ちてこんなすぐに降りてこられる訳がない。

ならなぜ!?



私は相当頭が混乱していて、
逃げる事を忘れてしまっていた。
まずい。身体が重い。間に合わない!

え。…踏み殺される!!!!


「っ!?」


すると、一頭の騎馬がその中から少し足早に私の方に近づいてきた。


「乗れ」
「???」
「……そのままでいると踏み殺されるぞ?」
「!!!」



言葉よりも考える事よりも先に、差し出された手を掴みその方の前に乗馬した。


「ありがとう…」
「………………」



お礼の言葉が届いたかどうか分からないくらい自分の声が小さく、そして意識が朦朧としてるのが分かった

背中の傷が深いせいだろうなぁ…
痕残ったら、佐助に化けてでようか、な……


乗馬した途端、急に眠気が襲い我慢が利かなくなってしまったので背中にいる殿方に身体を預けた

「……」
「……」


何故かとても心が穏やかになった。


今でも脈が激しく打ち背中から血が流れているのがわかる。血を流しすぎたのかな
それにとても疲れた……


我ながら、とても軽率な行動だとは思った

この方が誰かも分からない。
ここが何処なのかも分からない。
廻されて殺されるかもしれない。
でもこれから私にどんな事が待ち受けていようと、それはどうでもいい事だった。


だって、生きている意味がもう無いのだから…………



意識が切れる直前、後ろの彼と誰かが話しをしていた気がするが意識が途切れた。


もう、疲れた。



ALICE+