03




……そなたは、…………


「う、ん……」


周りがやけに騒がしい事を思い、私が何処かに横たわっている事に気づく。
あれ、宴かなぁ……

そういえば、遠くに信玄様の笑い声が聞こえる。物凄く上機嫌だ。

あ、隣で誰か潰されて……

幸村様…………
まぁた、潰されてるよ。
後でお部屋に水持って行こう


私は笑って彼らを見ていると、気付いた幸村様が私を手招く。嬉しい。


"晋"

心地いい。声…


すると部屋が幸村様の私室に変わっていて
甲冑姿から部屋着に変わった。


"晋"

私は抱きついた。


"幸村様……"

更に強く抱き締めた
すると頭をその大きな手で撫でてくれる
それが嬉しくて涙が溢れた。


"愛しています"

"…………あぁ"

クスクス笑われているのが聞こえる


"本心ですよ"


少し怒った様に言うと
宥める様に背中をさすられる



"もう、離さない……ッ"

だから、何処にも

何処にも行かないで……





「お願い…っ。行かないで……」



「…私は此処にいるが」
「……へ?」

…………だれ。



彼の声に、現実に戻された私は、亜麻色の髪の御人の首に腕を回し大切な人にするくらい抱き締めていた。……そう、見ず知らずの男性です。

声に顔を上げると、めちゃ近くで見つめ合う形になってしまった……


「ご、ごめんさい…」
「構わない」

「て、てめぇら!!何しやがってんだ!!!」
「録嗚味…お前は初心か……」
「ちちがう!!た、ただ殿の前でそんなふしだらな事をだな……」
「ンフッ。かまいませんよォ」

「……プッ。お前、羨ましいだけだろ」
「干央、てめぇ笑うんじゃねぇ!!!」


ココココココッ!


……………え。だれ?
ごめん。楽しそうなんだけど、晋困惑。


周りを見ると、主と思われし方が一人と
その方を囲うように5人の武人が座っていた。


なぜ、武人かと分かったかというと
見える場所への刀傷、微かな私に対する殺気
そして、顔が怖い……眉間にしわ寄せすぎると取れなくなるよー………

そしてよく見ると隣にいる方は、馬に襲われそうになったところを助けてくださった命の恩人………?

まぁなんかよく分からないけど、もう生きてようが死のうがどっちでもよくて、正直血を流し過ぎて目の前が朦朧としていた。
この後、自分がどうなろうがどうでもよかったから身を流れに任せる事にした。


「っ!?」

すると今の今まで、腕を離していなかった御人に急に横抱きに持ち上げられ、その方の定位置であろう場所まで連れて行かれた。

そこはここの主だろう方の一番近く。
この人達の座り方からしてそうだと思った。

そして、目の前に座らされる。

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